【NBA】指揮官を失ったトレイルブレイザーズが初勝利、26得点のデニ・アブディヤ「僕らは前進し続ける」

ヘッドコーチのチャウンシー・ビラップスが逮捕されたことで、トレイルブレイザーズは開幕早々から迷走すると思われた。 現地10月22日の開幕戦ではティンバーウルブズに114-118で敗れたが、優勝候補を相手に最後までもつれる接戦を演じた。アンソニー・エドワーズのクラッチ力に屈したものの、チームの層の厚さやエネルギーという点ではブレイザーズが上回っており、エドワーズは「ブレイザーズは今までとは違う。本気で挑まないと勝てないチームだ」と称賛を送った。 だが、攻守にエネルギー溢れる若いチームを作ってきた指揮官が逮捕され、NBAは即座に資格停止処分を彼に下した。逮捕からほどなく保釈されたが、捜査が決着するまではコーチとしての活動ができない。 それでも日が変われば試合がやって来る。現地24日のホームゲームの相手は開幕から2連勝と好調のウォリアーズで、バック・トゥ・バック(2日連続の試合)であってもステフィン・カリーやジミー・バトラーに疲れは溜まっておらず、ブレイザーズを一蹴するものと思われた。 暫定でチームの指揮を執るのはティアゴ・スプリッター。ブラジル出身の彼は現役時代にスパーズで活躍し、2014年の優勝メンバーでもある。引退後はいくつかのチームでアシスタントコーチを務めた後、パリ・バスケットボールを率いてフランスリーグ優勝を果たした後、ビラップスのアシスタントコーチとしてNBAに復帰していた。 彼は事件について「他の皆さんと同じようにSNSで知った」と言い、ビラップスの捜査については「申し訳ないが話したくない。コメントするのが難しいことは分かってほしい」と続けた。 一方でブレイザーズを率いることについては「難しい局面だが、自分の仕事をやるしかない」と覚悟を固めている。「ペースを上げて、ディフェンスではアグレッシブに。このコンセプトを変えるつもりはない。この2カ月はチームのアイデンティティを作るために全員が仕事をしてきた。それを続けるだけだ。ここから素晴らしいシーズンを送る機会がある以上は前に進むしかない。事件からは距離を置き、選手がバスケに集中できるようサポートしたい」 こうして迎えたウォリアーズ戦で、ブレイザーズは素晴らしい戦いを見せる。ドリュー・ホリデーがチームを掌握してペースを作り、トゥマニ・カマラとドノバン・クリンガンがウォリアーズの組織プレーを分断し、デニ・アブディヤはオフェンスを引っ張る気迫を見せた。シックスマンに回っているジェレミー・グラントは、ウルブズ戦ではクラッチタイムにエドワーズに屈したが、この試合では攻守に勝負強さを発揮した。第2クォーターを41-28として奪ったリードをそのまま保ち、終盤も押し返そうとするウォリアーズを攻守のエナジーで上回った。最後にはヤン・ハンセンのダンクで会場は大いに沸いた。 139-119の快勝でシーズン初白星を挙げたことで、スプリッターの表情は試合前とは打って変わって明るかった。「非常に激しくプレーした。彼らが連戦だったのは分かっていたから、ローテーションを早くしてペースを強調して自分たちの流れに持ち込んだ。正直に言えば、まだ状況がちゃんと把握できているかどうかは怪しいが、困難を乗り越えた選手たちを誇りに思う」 アブディヤはNBAキャリア6年目を迎え、チームを引っ張る役割をきっちりとこなした。「コートに足を踏み入れたら、昨日の出来事は関係ない。100%を捧げて仕事をこなすだけだ」と彼は言う。 「僕ら全員がチャウンシーのことが好きだ。僕を大きく引き上げてくれたコーチだし、それは他の選手にとっても同じだろう。だから今回の事件は驚きでしかないけど、彼にとって最善の決着となることを願いつつ、僕らは前進し続けなければならない」 「僕らはフィジカルにプレーし、ずっとアクセルを踏み続けた。速く走り、フィジカルに戦い、オールコートでプレッシャーをかけた。これが僕たちのプレースタイルであり、2日連続で戦うベテラン揃いのチームには有効だったと思う。大事なのはアグレッシブに、全員で戦うこのスタイルを続けていくことだ」 ウォリアーズを若いエネルギーで圧倒したこの勝利は、チームの置かれた状況を考えれば10勝ぐらいの価値がある。チームを取り巻くネガティブな空気が、少なくとも数日は消えることだろう。 試合後のロッカールームで、ヘッドコーチとしての初勝利のお祝いで選手から水を浴びせられたというスプリッターは「この勝利が我々を前進させてくれることを願うよ」と語った。「バスケに集中し、自分たちのスタイルを貫けるように。このチームはまだいろんな点で成長が必要だが、努力だけは毎試合怠ることがないと約束するよ」

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