即時抗告審、来月審理終結へ 解散命令巡り攻防大詰め 国は清算指針決定・旧統一教会

安倍晋三元首相銃撃事件で山上徹也被告(45)が逮捕後に動機として挙げた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。 東京地裁で解散命令が出た後も即時抗告審が続いているが、関係者によると、東京高裁は11月に審理を終結させる方針を示した。決定で判断が維持されればその時点で効力が生じることになり、攻防は大詰めを迎えている。 事件を機に高額献金問題などが改めて注目されたことを受け、文部科学省は2023年10月、教団への解散命令を請求した。東京地裁は今年3月、「類例のない膨大な規模の被害を生じさせた」として、民法上の不法行為を根拠とした初の解散命令を決定。教団は4月、決定を不服として即時抗告した。 高裁はこれまでに非公開の手続きを4回実施。教団によると、4回目となる今月21日には教団側が申請した信者2人の証人尋問が行われた。日本人との合同結婚式を経て来日した韓国人の50代女性が銃撃事件後に差別的な扱いを受けたと主張。教団職員の30代男性は、信者らへの誹謗(ひぼう)中傷が解散命令によって一層悪化する懸念があると述べたという。 関係者によると、高裁は教団側、文科省側の双方に来月21日までに最終的な主張書面を提出するよう求めたといい、審理が終結する見通し。年明けにも判断が示される可能性がある。 高裁が解散命令を維持した場合、その時点で命令の効力が生じ、教団の清算手続きが始まる。任意団体としての活動は続けられるが、礼拝施設などの財産を処分しなければならず、税制上の優遇措置も受けられなくなる。 ただ、教団による財産隠しを懸念する声が上がっており、文科省は今月20日、教団を念頭に、財産監視の強化対象となる宗教法人の清算に関する指針を決定した。法的拘束力はないが、清算人への妨害や財産の隠匿があった場合に刑事・民事上の責任追及を検討することなどを盛り込んだ。

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