物流大手「鴻池運輸」(大阪市)が大阪国税局の税務調査を受け、2023年3月期までの3年間に計約3億円の所得隠しを指摘されたことがわかった。追徴税額は重加算税を含め約1億円とみられる。 鹿島支店(茨城県鹿嶋市)の元課長らが、架空取引で会社資金を流出させたことが税務調査で発覚。国税局は元課長が会社幹部であるとして同社に追徴課税したという。 鴻池運輸はこれを不服として大阪国税不服審判所に審査請求しており、取材に「不服申し立てをしていることは事実」と答えた。 関係者によると、元課長らは23年3月期までの約3年間に下請け7社に架空の業務に関する請求書を提出させるなどし、鴻池運輸に代金として計約3億円を支出させていたという。代金は下請け側に裏金としてプールされ、一部は元課長らが私的に使ったとみられる。国税局は、この約3億円分が所得隠しにあたると判断したという。 大阪府警は今年1月、元課長らが架空取引で約1億7千万円の損害を鴻池運輸に与えたとして会社法違反(特別背任)の疑いで逮捕した。元課長は10月、大阪地裁で懲役4年の実刑判決を受け、確定している。 東京商工リサーチによると、鴻池運輸の25年3月期の売上高は約2251億円で、従業員は約9千人。(市田隆)