睡眠薬を飲ませ昏睡状態で…乗客の女性に次々と不同意性交したタクシー運転手 裁判での〝驚きの主張〟

「わかりません」「覚えていません」 乗客の女性に睡眠薬を飲ませ、昏睡状態にさせて性行為に及んでいた元タクシー運転手は、公判でこう述べ、犯行を否認した。 田中敏志(さとし)被告(54)は事件当時23歳だった女性・Aさん宅への住居侵入と、A~Cさん3人の女性への不同意性交等・性的姿態等撮影で起訴されている。10月28日、東京地裁で初公判が開かれた。 「’25年5月21日、警視庁捜査1課は、東京都江戸川区の元タクシー運転手、田中被告を不同意性交等などの疑いで再逮捕しました。昨年7月、酒に酔ったAさんに睡眠薬を飲ませて性的暴行を加えた容疑です。田中被告は、女性の体調を気づかうふりをして睡眠薬の錠剤と水を渡し、昏睡状態にさせていたとみられています。田中被告は『覚えてない』と容疑を否認しています。 田中被告の最初の逮捕は昨年10月30日、やはり飲酒していたBさん(当時18歳)への昏睡強盗の容疑でした。8月にタクシーの車内でBさんに睡眠薬を飲ませて現金4万円などを奪い、駐車場に放置した疑いです。Bさんは気が付くと病院にいたということです」(全国紙社会部記者) この最初の逮捕の後、田中被告は処分保留で釈放されている。捜査を継続していた警視庁は昨年12月28日に自宅を捜索。そこで出てきたものは性的暴行の動かぬ証拠の数々だった。 「複数の女性にわいせつな行為をする動画や画像が約3000点保存されたUSBが押収されたのです。そこには複数の被害者と思われる女性の身分証の画像が含まれており、警視庁はその身分証の画像から被害者を特定。まずはAさんへの犯行で、田中被告の再逮捕に踏み切ったのです。Aさんは警視庁から連絡があるまで、被害に気づいていなかったということです。 画像は古いもので’08年に撮影されたものもあり、それ以降、約50人が被害に遭ったとみられます。警視庁はAさんに続き、Bさん、Cさん(事件当時27歳)と各被害者を特定して、再逮捕を繰り返しています。 また、田中被告は昨年12月には他県警にもわいせつ事件に関わったとして逮捕され、不同意わいせつの罪で起訴されていました」(同前) ◆弁護人がまさかの主張を… 初公判では、A~Cさんの事件3件の起訴状の審理が行われた。検察官が読み上げた起訴状や冒頭陳述などからは、田中被告のおぞましい犯行の詳細が明らかにされた。 「友人と飲酒していたAさんは’25年7月下旬の朝7時ごろ、被告人が運転するタクシーに乗車しました。被告人はAさんを東京都内の自宅まで送り届けた後、その自宅に侵入し、睡眠薬などを飲ませて昏睡させたAさんと性交しました。そしてその様子を動画や写真で撮影するなどしました。また犯行の際に、Aさんの運転免許証などを撮影しています」(Aさんへの犯行) 「友人と飲酒していたBさんは泥酔し、’24年8月下旬の朝6時ごろ、渋谷区内の路上に座り込み眠っていました。被告人はタクシーを運転し、座り込んだBさんの近くを何度か通過した後、声をかけましたが、そのときはBさんを乗車させることなく走り去っています。朝8時ごろ、再度タクシーを運転して座り込んでいるBさんの近くに現れ、Bさんを乗車させると、車内で睡眠薬などを飲ませるなどしました。 その後、中野区内のパーキングにタクシーを停車させると、車内で昏睡したBさんと性交しました。さらに、その様子を動画や写真に撮影するなどしています。Bさんの身分証などを撮影した上で、Bさんを渋谷区内の駐車場に放置したのです」(Bさんへの犯行) 「友人と飲酒していた当時27歳の女性Cさんは泥酔し、’24年9月中旬の遅くとも朝3時ごろまでに被告人が運転するタクシーに乗車しました。 被告人は車内で睡眠薬を飲ませ、朝4時ごろに世田谷区内の路上に停車させたタクシーの車内でCさんと性交しました。そしてその様子を動画や写真に撮影するなどしています。また犯行の際にCさんの運転免許証などの写真を撮影しました」(Cさんへの犯行) 検察官が起訴状を読み上げた後、諸徳寺聡子裁判長が「間違いないですか?」と質問すると、田中被告は冒頭のように「わからない」と否認したのだった。 さらに、弁護人がこう続けた。 「公訴事実記載の行為については争いません。しかしながら、被告人は事件当時、心神喪失の状態にあり、刑法第39条1項(「心神喪失者の行為は、罰しない」という規定)により、無罪であると主張します」 安全なはずのタクシーを、危険な密室にしてしまった田中被告。弁護側は被告が善悪の判断能力・制御能力が全くない「心神喪失の状態」だったと主張した。今後の公判ではこの主張が認められるかどうかが注目される。 しかし、果たして「心神喪失」した状態で、被害者に薬を飲ませ、昏睡させて性的暴行を加えた上に、身分証まで撮影するという行動を繰り返すことができるものなのだろうか。今後、さらに被害者が増えて追起訴が続く予定で、事件の全容解明には、まだまだ時間がかかりそうだ。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文・写真:中平良

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