東証プライム上場の物流大手の鴻池運輸(大阪市中央区)が大阪国税局から令和5年3月期までの3年間の税務調査で、約3億円の所得隠しを指摘されていたことが31日、関係者への取材で分かった。追徴税額は約1億円に上る見込み。元社員の架空取引の一部を重加算税の対象となる所得隠しと認定した。同社は処分を不服とし、国税不服審判所に審査請求を申し立てた。 同社を巡っては一昨年、鹿島支店(茨城県鹿嶋市)の元課長らによる架空取引が税務調査で発覚。同社の公表した調査結果によると、元課長らは取引先7社から架空の請求書を提出させる手口で同社に約5億円を支払わせ、取引先からキックバッグを受けていた。 同社の告訴を受け、大阪府警は今年1月、約1億7千万円の損害を与えたとして、会社法違反(特別背任)の疑いで元課長らを逮捕した。 関係者によると、大阪国税局は、元課長ら会社の幹部が不正に関わっていたと問題視。会社として多額の不正に長期間気付かなかったことなどから、監督責任を怠ったと判断したとみられる。