【AFP=時事】メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領(63)が痴漢被害に遭う衝撃的が動画が公開され、同国でまん延するセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)や痴漢、性的虐待に関する問題に注目が集まったことを受け、シェインバウム氏は6日、国を挙げての対策に乗り出した。 メキシコ初の女性大統領であるシェインバウム氏は、全土で性的虐待に拘禁刑を科し、被害女性に警察への通報を促す計画を発表した。 シェインバウム氏が4日、首都メキシコ市の道を歩いていると、酒に酔っているとみられる男が近づいてきて声を掛けられた。 男はシェインバウム氏の肩に腕を回し、もう片方の手で尻と胸を触った。首にキスしようとしたところを大統領警護隊員に引き離された。 現場に居合わせた複数の人が動画を撮影しており、世界中で大きく報じられたことで、多くのメキシコ人女性が直面している危険とハラスメントに注目が集まった。 シェインバウム氏は、当初は何が起こっているのか分からなかったが、他の女性たちにつらいのはあなただけではないことを示すため、男を告訴したと述べた。 男性はその後逮捕され、同日中にさらに2人の女性に対する暴行容疑で告訴された。 シェインバウム氏は、メキシコ32州で州ごとに大きく異なるセクハラと痴漢、性的虐待に関する法律の見直しも命じた。 国連によると、15歳以上のメキシコ人女性の約70%が、人生で少なくとも一度は痴漢被害に遭う。 「まさにその理由で、ワンピースで外出できない」「メキシコの女性なら誰もが、どこかでこのような経験をしたことがあると思う」と歯学部に通う大学生、ユヌエ・バレラさん(23)は語る。 「地下鉄、街中、公共交通機関、帰宅中、買い物に行く途中、いつどこでも何らかの痴漢に遭う。被害を受けたことがない人に遭ったことがない。メキシコでは日常茶飯事だと思う」と付け加えた。 シェインバウム氏の行動に多くの人が喝采を送る一方で、当局が告訴を真剣に受け止めるだろうかという懐疑論もある。 シェインバウム氏は、「機関と政府が被害者を支援する必要がある」と述べ、「真に正義が実現される」ための「効率的で迅速な」通報制度を求めたが、詳細は明らかにしなかった。 食品販売業者のアドリアナ・アベリーノさん(19)は、現行制度は女性に不利だと指摘。 「正直に言って、告訴しても、誰も耳を傾けてくれない。それなら告訴する意味なんてない」と述べた。 メキシコでは公共の場での痴漢がまん延しており、首都メキシコ市の地下鉄では女性専用車両が導入されている。 シトラリ・エルナンデス女性相は、今年これまでに2万5000件以上の被害相談が寄せられていると述べた。だが、これも氷山の一角にすぎないと見られている。【翻訳編集】 AFPBB News