「ドバイ逃亡だけじゃない」NHK党・立花孝志容疑者“異例逮捕”のウラにみえる「ある懸念」

『NHKから国民を守る党』(NHK党)の党首・立花孝志容疑者(58)が11月9日、元兵庫県議の竹内英明さん(故人)に対する名誉毀損容疑で兵庫県警に逮捕された。 同容疑者は昨年12月、斎藤元彦氏(47)が立候補した兵庫県知事選に「2馬力」を謳い、自らも出馬。斎藤知事の再選をアシストする傍ら、県の百条委員会メンバーだった竹内さんに対し 「警察の取り調べを受けているのは間違いない」 などと発言した。 今年1月に竹内さんが誹謗中傷を苦に自死した翌日には 「どうも明日逮捕される予定だった」 などとウソの情報を拡散。今年6月に竹内さんの遺族が立花容疑者を刑事告訴していた。 名誉毀損は在宅起訴が一般的で、身体拘束を伴う逮捕は異例だ。立花容疑者はかねて 「逃げも隠れもしない」 と豪語し、任意の事情聴取にも応じてきたが、県警は 「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」 と逮捕に踏み切った。先月末にドバイを訪問していたことが問題視されたとみられる。全国紙政治担当記者の話。 「ドバイと言えば、脅迫容疑などで逮捕状が出ていたガーシーこと東谷義和氏が“国外逃亡”した場所ですから、県警は懸念を抱いたのかもしれません。もっとも立花容疑者は12月7日告示(14日投開票)の静岡・伊東市長選への出馬を表明しているので、県警の拘束理由は“取ってつけ”のようにも見えますが……。どちらにせよ、県警が本気なのは間違いありません。これだけの大捕りモノなので、事前に検察とは打ち合わせ済みでしょう」 そこで本サイトは、元テレビ朝日法務部長である西脇亨輔弁護士に、兵庫県警があえて逮捕した理由について取材すると、 「警察が逮捕するの場合は基本的に“逃亡の怖れ”と“証拠隠滅の怖れ”なのですが、今回は10月末にドバイに行ったことで、逃亡する懸念が高まったということでしょう。というのも、立花氏はすでに脅迫の罪で懲役2年6月、執行猶予4年の判決が出ています。今回は執行猶予期間中の事件なので、有罪になれば執行猶予が取り消され、実刑になる可能性は高い。となれば、刑務所に行くのが嫌で、逃亡する可能性が高いと警察が考えるのは自然なことでしょう」 と話す。立花容疑者の執行猶予期間は‛23年3月22日から‛27年3月22日までとなっている。 ◆「一度くらい刑務所に入ってもいい」 さらに西脇弁護士は、 「証拠隠滅についても、名誉毀損の発言そのものは公になっていて今更消せませんが、『証言封じ』は起こり得ます。立花氏のSNSなどでの発信が“犬笛”になってフォロワーに関係者や被害者家族を攻撃させたら、得られるべき証言が得られなくなる可能性が出る。警察がそれを懸念した可能性は十分にありますね」 と立花氏ならではの理由もあったのではと分析する。 名誉毀損罪に問われた場合をみてみると 「3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金」 とある。大半のケースは罰金刑で終わることがほとんどだが、今回はひとりの人間の命が失われている。それを「軽微」と扱うかどうかは、裁判官の裁量次第だ。 「竹内さん本人は亡くなっているので、遺族の証言が重要になってくる。また、デマを発信したのは立花容疑者だが、それが誹謗中傷を扇動したかどうかは冷静に見ていかなければならない。立花容疑者サイドは『罰金刑で済ませたい』という思惑のようだが、死者が出ている事件で『罰金刑で済ませて良いのか』という意見もある。国民の関心も極めて高く、仮に“見せしめ”的な要素があるのならば、諸般の情勢を踏まえて厳しい判決が出てもおかしくない」 とは、在阪のテレビ局関係者だ。 SNS社会となり、デマや悪意ある投稿、誹謗中傷が社会問題化している。そのさなかの立花容疑者の逮捕を「見せしめ」と見る向きも多い。 今回の事件について裁判所はどう判断するか……。前出の西脇弁護士は、 「今回が罰金刑だった場合、前回の執行猶予を取り消すかどうかは裁判所の判断に任せられます。ですが、罰金刑になる可能性は低いでしょう。事案の深刻さというのもありますが、やはり執行猶予期間中の犯行ということを裁判所は重く考えます。脅迫などの罪で懲役刑になった人が、刑務所行きを猶予してもらった期間に名誉毀損という性格が似た事件を起こしたなら、罰金刑で済ますことは考えづらいでしょう」 と予測する。 一方で、立花容疑者本人は周囲に 「一度くらい刑務所に入ってもいい」 とうそぶいていたという。今の時代、塀の中からも情報発信できる。立花容疑者を知る人物は 「逮捕は想定していたから取り乱すことはなかった。むしろ『いいネタができた』くらいにしか思っていないのではないか。ある意味、逮捕されたことでさらに厄介な存在になるかもしれない」 と危惧する。今後の推移を見守るしかない――。

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