逮捕しても「第二の立花孝志」は必ず現れる…マスコミが目を背ける日本人が「NHKをぶっ壊す」を支持した理由

11月9日、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者が、名誉毀損の疑いで兵庫県警に逮捕された。元関西テレビ記者で、神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「NHKをはじめとするマスメディアは、『なぜ立花孝志が求められたのか』を理解していないし、理解しようとすらしていないのではないか」という――。 ■立花氏の逮捕をめぐりホリエモンは… 政治団体「NHKから国民を守る党」(以下、N国党)の立花孝志党首が名誉毀損の疑いで、兵庫県警に逮捕された。兵庫県知事をめぐる内部告発に関して、竹内英明前県議(今年1月に死去)の名誉を傷つけた容疑である。 立花氏の逮捕については、さまざまなメディアで議論が続いている。 11月10日放送のテレビ朝日系列「羽鳥慎一 モーニングショー」では、コメンテーターの玉川徹氏が「政治活動の自由、表現の自由は最大限守られなければならないというのは大前提」とした上で、「その過程で、誰かを傷つけたり、虚偽の犬笛を吹いて多くの人から攻撃をさせることをやった。そういうことがいいはずがない」と批判した。 他方で、身柄を拘束した点について堀江貴文氏が、「典型的な人質司法的な」案件であり、「『逮捕されたら犯罪者である』みたいな言動が行われている」とYouTubeで疑問を呈した。 逮捕が良いのか悪いのか。それだけでも見解は分かれているし、本稿執筆時点(2025年11月12日)では、起訴もされておらず、裁判になるかどうかもわからない。推定無罪の原則にもとづけば、兵庫県の斎藤元彦知事のように、「捜査中であり、コメントは差し控えさせていただく」とするのが妥当なのだろう。 私は、ここで、立花氏やN国党について、批判をしたいのでもなければ、逆に、擁護したいわけでもない。それよりも、あらためて「立花孝志」とは何なのか、を考えてみるきっかけにしたい。なぜ、私たちは、ここまで彼について語るのだろうか。 ■2005年、週刊文春での「内部告発」 立花氏は、1967年、大阪府泉大津市に生まれ、府立信太高校を卒業後にNHKに入る。最初に世間に知られたのは、2005年、週刊文春での内部告発だった。「NHK現役経理職員立花孝志氏懺悔実名告白 私が手を染めた裏金作りを全てお話しします」(同誌2005年4月14日号)と題された記事は、いま立花氏のブログに転載されている。 当時、「紅白歌合戦」のプロデューサーだった人物による巨額の横領事件をはじめ、NHKの不祥事が相次いでいた。なかでも立花氏のこの告発は、同局の組織としての不健全さを明らかにし、大きなインパクトを与えた。 彼自身による「立花孝志の軌跡」(『NHKから国民を守る党 立花孝志かく闘えり』大洋図書、2020年)によれば、「スポーツ放映権料の秘密を公開したため懲戒停職1カ月」、そして、「オリンピックで裏金を作ったとして懲戒出勤停止7日間」の処分を受けたのちに、2005年7月末日で退職する。 内部告発に至る動機を、その著書のなかで、次のように述べている。 ———- 自分のために生きるな。公のために尽くせ。人のために働くことは美しいことなんだ。嘘はつくな。曲がったことはするな」それが立花家に脈々と受け継がれてきた教えなのです。心の底からこみ上げてくる正義感が僕を突き動かすのです。(同書17ページ) ———- この「正義感」こそ、「立花孝志」とは何か? を考えるキーワードにほかならない。

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