中国の捜査当局は、中国武術で知られる河南省・少林寺の元住職、釈永信氏を、資金の横領や収賄などの疑いで逮捕すると決定した。国営新華社通信が16日報じた。 釈氏を巡っては、少林寺が7月、寺の資産やプロジェクトの資金を横領した疑いがあるとして、当局などによる調査を受けていると発表。長期にわたり多くの女性と不適切な関係を持ち、子供もいるという「重大な戒律違反」も明らかにしていた。 少林寺のホームページなどによると、釈氏は1965年生まれ。87年以降、寺院内の事務の責任者を務め、少林寺の「ビジネス化」を進めた。 経営学修士(MBA)も取得したとされ、その手腕からネット上で「少林寺CEO(最高経営責任者)」と呼ばれた。2002年以降は中国仏教協会副会長も務めていた。 中国仏教協会は7月、「釈氏の行為は非常に悪質で、仏教界の名声を傷つけ、僧侶のイメージを損ねた」とし、僧侶の身分を取り消すことに同意したと表明。これを受け、少林寺も新たな住職を任命していた。【北京・畠山哲郎】