ブラジルの最高裁判所は25日、右派のジャイル・ボルソナロ前大統領(70)に対し、禁錮27年3カ月の刑の服役を始めるよう命じた。ボルソナロ氏は2022年の前回大統領選挙で左派のルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領に敗れた後、政権にとどまろうとクーデターを企てた罪に問われ、今年9月に有罪判決を受けた。 アレシャンドレ・デ・モラエス判事は、この事件の裁判では最終判断が示されており、これ以上の上訴は認められないとした。 ボルソナロ前大統領は22日、逃亡の恐れがあると判断され、自宅軟禁状態から首都ブラジリアの連邦警察施設に移された。服役はこの場所で始める。 前大統領は23日に出廷。裁判資料によると、足首につけられた監視装置をはんだごてで解除しようとし、途中で「正気に戻った」と認めた。 ただ、逃げるつもりはなかったと主張。監視装置に損傷を与えたのは薬による「パラノイア(偏執病)」のせいだとした。 前大統領の医療チームは、前大統領の健康状態が悪化していると訴えていた。モラエス判事は25日、前大統領に対するフルタイムの医療ケアを指示した。 ■クーデターを首謀と認定 9月の最高裁判決では、前大統領は、ルラ氏と副大統領候補だったジェラルド・アルキミン氏を暗殺し、前大統領の裁判を担当してきたモラエス判事を逮捕して処刑する計画を知っていたと認定された。 この計画は、陸軍と空軍の司令官らの支持を得られなかった。ルラ氏は2023年1月1日に無事、大統領に就任した。 しかし、1週間後の同月8日、前大統領を支持する数千人がブラジリアの政府庁舎を襲撃した。治安部隊が介入し、約1500人が逮捕された。 最高裁判事らは、暴徒は前大統領によって扇動されたと認定。前大統領の計画は、軍を介入させて政権復帰を果たすものだったとした。 前大統領は判決で、刑期終了の8年後の2060年まで公職への立候補を禁止された。 前大統領はこの裁判を「魔女狩り」と呼び、2026年大統領選への自身の立候補を阻止するのが狙いだと主張した。 モラエス判事は25日、前大統領と共謀したとして有罪とされた被告らにも刑の開始を命じた。 それらの被告には、アウグスト・ヘレノ元国家安全保障相やパウロ・セルジオ・ノゲイラ・デ・オリヴェイラ元国防相が含まれている。 (英語記事 Bolsonaro ordered to start serving 27-year prison sentence for Brazil coup plot)