大阪・ミナミにも「日本駆け込み寺」が相談拠点開設、歌舞伎町で家出や売春の少女らを支援

東京・歌舞伎町で20年以上、少年少女らの支援活動を続けてきた公益社団法人「日本駆け込み寺」がこのほど、大阪市中央区難波の「ホテルアートイン難波」に、「大阪ミナミ駆け込み寺」を開設した。居場所のない子供たちや、ホストに貢いで売春を繰り返す少女など、ミナミに集まる若者らが身を寄せたり、相談したりできる場所として活動を始めている。 平成14年に日本駆け込み寺の前身となるNPO法人を立ち上げた玄秀盛代表理事(69)は、新宿・歌舞伎町で金銭トラブルや家庭内暴力(DV)などに苦しむ人々の相談に応じてきた。近年は「トー横(東宝ビル横)」に集まる少年少女や悪質ホスト問題などの被害者支援でも知られる。 そんな玄さんの出身は、難波からほど近い大阪市西成区。11日にあった「大阪ミナミ駆け込み寺」の開所式で、「ずっと大阪で開設したかった。生まれ故郷でお返しできたら」とあいさつ。居場所のない若者らが集うことで社会問題化した大阪・ミナミのグリコの看板下「グリ下」から徒歩5分ほどのホテルの1階にあり、宿泊が可能なうえにカフェのようなテーブルを設置して、若者が気軽に立ち寄れるような場所にしたいと考えている。 ただ日本駆け込み寺は今年、薬物事件に直面した。 コカインを所持したとして麻薬取締法違反の疑いで5月に元事務局長が逮捕。東京都の補助金が取り消しになるなど苦境に陥り、玄さんが代表理事を退いた。その後9月に内閣府から公益社団法人に再認定され、代表理事に復帰。玄さんは「個人の犯罪とはいえ、団体の責任者として引責辞任し、私なりにけじめはつけました。組織としてやましいことはない」と話す。 相談は無料で、平日午前11時~午後5時。玄さんの講演料や原稿料、寄付で運営費をまかなう。ボランティアが増加すればさらに活動の幅を広げる。問い合わせは(080・7602・1818)。(中野謙二)

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