新型コロナウイルス対策の国の給付金がだまし取られた事件で、詐欺グループのうち元大和証券社員の男ら中心メンバー4人が、不正受給した給付金のうち各1000万円を得たとみられることが捜査関係者への取材でわかった。一方、東京国税局職員の塚本晃平容疑者(24)の取り分は約120万円で、警視庁は塚本容疑者が不正を手伝う立場だったとみている。
大和証券
事件では、2020年8月頃に国の持続化給付金100万円をだまし取ったとして、塚本容疑者ら7人が詐欺容疑で逮捕された。このうち元大和証券社員の中峯竜晟(りゅうせい) 被告(27)ら5人が詐欺罪で起訴された。
捜査関係者によると、グループは知人のつてなどで集めた高校生や大学生らの名義で約200件の不正受給を繰り返し、約2億円を不正に得たとみられる。
名義人には「暗号資産に投資し、2倍にして返す」などと説明し、給付金の全額(100万円)を口座に振り込ませていた。グループはこの金を現金で引き出し、国外逃亡中の30歳代の男と、中峯被告、元東京国税局職員の中村上総被告(24)ら4人が1件あたり5万円を受け取り、残りの80万円を暗号資産関連事業に投資していたという。
4人の取り分は各約1000万円に上ったとみられ、警視庁は生活費などに充てたとみている。塚本容疑者は中村被告の幼なじみで、給付金の申請に必要となる確定申告書の作成を担当していたが、報酬は約120万円にとどまった。