必要な点検や整備をせずに車検を通したとして、警視庁は、埼玉県八潮市の民間車検場「ブルック」の元社員ら3人を道路運送車両法違反(不正車検)などの容疑で逮捕し、2日に発表した。いずれも容疑を認めているという。警視庁は、同社が約30年間で約1万6千台の不正車検を繰り返し、計約3億5千万円を得たとみて調べている。 逮捕されたのは、同社の自動車検査員だった寺垣訓弘(63)=草加市=、松田正治(59)=東京都足立区=の両容疑者と、車検を仲介した自動車整備業の男(49)。逮捕は11月19日付。同社社長の男(73)についても12月2日、同容疑で書類送検した。 交通捜査課によると、4人は共謀して2月~5月、高級車4台の車検を通すために必要な点検や整備をせず、虚偽の保安基準適合証を作成し、関東運輸局に提出した疑いがある。このうち2台は不正な改造車両だった。 また、これらの不正車検の見返りに仲介した男から現金計約8万8千円を受け取ったとして、警視庁は12月2日、社長と元社員ら3人を加重収賄容疑で書類送検した。仲介した男については贈賄容疑で書類送検した。同社は国の指定を受けた民間車検場で、道路運送車両法は、検査業務を担当する自動車検査員を「みなし公務員」と定めている。 社長の男は「不正な行為をして不正な報酬を受け取れば処罰されることはわかっていた」と話しているという。 警視庁は「法令で定められた整備を行っていない車両は、整備不良などによって重大な事故につながる恐れがある。不正車検だと分かって依頼した時には立件された例もある」として、車検の依頼者にも注意を呼びかけている。(太田原奈都乃)