「ロマンス詐欺」被害者から加害者に? 68歳「指示役好きだった」

「ロマンス詐欺」の被害者から加害者に――。そんな構図とみられる事件が横浜市で起きていた。 神奈川県警に逮捕された女性は、会ったことのない「男性軍人」から頼まれて自分の銀行口座を提供し、その後、現金の受け取り役になったとみられる。調べに対し「詐欺だと分かっていたが、指示役が好きだった」と話しているという。 この女性は、ブラジル国籍でバス運転手のアオキ・ネウザ・ヤエコ容疑者(68)=栃木市都賀町。県警旭署が1日、詐欺容疑で再逮捕した。 再逮捕容疑は、氏名不詳者と共謀して2~4月、イラクの男性軍人を装い、横浜市旭区の70代女性から3回にわたり計約350万円をだまし取ったとしている。アオキ容疑者は振込先口座の提供役とみられ、容疑を認めているという。 70代女性は交流サイト(SNS)で「男性軍人」とやり取りをして親近感を抱き、「荷物を送るための配送料がほしい」などと求められ、言われるがままに約350万円を振り込んだという。さらに5月には「イラクから脱出するためにプライベートジェット代が必要」と依頼され、自宅近くに来た「エージェント」(代理人)に146万円を手渡していた。 アオキ容疑者はこの時に代理人役を担い、現金を受け取ったとみられ、旭署は11月11日に詐欺容疑で1度目の逮捕をしていた。 一方で旭署は、アオキ容疑者自身もロマンス詐欺に遭い、金銭をだまし取られたうえ、口座の提供や現金の受け取りを指示されたとみている。 旭署によると、アオキ容疑者は「米国の男性軍人」をかたる人物とSNSでやり取りをし、恋愛感情を抱いていた。この人物から「日本に行きたい」などと言葉巧みに迫られたという。 アオキ容疑者の口座は他の詐欺事件でも使われていたことが、他県警の捜査で確認されている。【横見知佳】

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