【AFP=時事】香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は2日、先週香港北部の大埔区で発生した高層集合住宅の大規模火災について、原因究明のため独立委員会を設置すると明らかにした。不適切な建築資材が被害拡大を招いたとされるこの火災では、これまでに151人の死亡が確認されている。 李氏は2日の記者会見で、「建築に関わる制度を改革し、同様の悲劇を二度と起こさないようにするため、独立委員会を設立し、包括的かつ徹底的な見直しを行う」と述べた。委員会は独立性と信頼性を確保するため裁判官が率いると説明した。 李氏はさらに、基準を満たさないネットを合格品と混ぜて検査や当局をごまかそうとしたとし、容疑者らを「悪質だ」と非難した。 香港の汚職防止監視機関と警察による共同捜査で、これまでに14人が逮捕され、そのうち13人は過失致死の疑いが持たれている。 数千人が避難を余儀なくされたこの火災をめぐっては、悲しみと共に、責任追及を求める声が市民の間で高まっている。 香港では2日、政府の救済活動や建設業界の規制などを議題に、市民団体代表らが記者会見を開く予定だったが、会見は突然キャンセルされた。AFPは会見への招待状と記者への通知を確認した。 地元メディアによると、会の発起人らに対し、国家安全維持公署から「会議への出席を求められた」という。 他方で、大埔区の火災現場近くの地下歩道では1日、壁一面にカラフルな付箋が貼られていた。これは、2019年の民主化抗議運動の最盛期に香港各地で見られた「レノンウォール」を想起させるものだった。当時、レノンウォールでは民主化を訴える無数の政治的要求が見られた。 AFP記者が2日午後に同じ場所を再び訪れると、付箋はすでに撤去されていた。しかし、周辺の壁や柱、ベンチには新たなメッセージが貼られていた。【翻訳編集】 AFPBB News