ロシア軍がウクライナ占領地で拉致した子ども2人を北朝鮮へ強制移送した事実が、公式証言によって初めて確認された。 ウクライナ地域人権団体所属の弁護士カテリーナ・ラシェフスカ氏は、3日(現地時間)米ワシントンD.C.で開かれた上院公聴会で、「東部占領地でロシア軍に拉致された子ども少なくとも2人が北朝鮮の松涛園(ソンドウォン)収容所へ送られた」と証言したと、4日付のキーウ・インディペンデントが伝えた。証言によると、ロシア軍が占領したドネツク地域出身のミーシャさん(12)と、クリミア半島シンフェロポリ出身のリザさん(16)が、故郷から9000キロ離れたこの場所へ移送されたという。彼らは収容所で「日本の軍国主義者を破壊せよ」という教育を受け、1968年の米海軍艦艇プエブロ号拿捕事件に関与した北朝鮮側の軍関係者らと面会するなど、事実上、反日・反米的な性向を帯びたシステムの中で生活させられていたと伝えられている。 ラシェフスカ氏はまた、ロシアが運営または連携する児童再教育施設が、ロシア本土や占領地、ベラルーシ、北朝鮮などに少なくとも165カ所存在すると明らかにした。これらの施設では、ロシアによる軍事化・思想教育が行われているという。 同日の公聴会で別途証言した、イェール大学公衆衛生大学院人道主義研究所のネイサニエル・レイモンド事務局長は、現在ロシアが拘禁または統制下に置いているウクライナの子どもの数を、少なくとも3万5000人と推定すると述べた。ウクライナ政府が運営する「戦争児童」国家データベースによれば、公式に確認されているロシア軍による拉致児童は1万9546人に達する。ただし、ロシア家庭への強制的な養子縁組や軍事化施設への移送によって所在の追跡が難しいケースが多く、実際の規模はこれを大きく上回るとみられる。実際、ウクライナ当局者の間では15万〜30万人、キーウ・インディペンデントの最近の調査では約160万人のウクライナ児童が現在ロシア領内に足止めされているとされる。 こうした状況のため、ウクライナ政府はウクライナ児童の帰還を強く訴えている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は1日、パリで「Bring Kids Back(ウクライナ児童帰還)」国際イニシアチブに基づき開かれたハイレベル会議で演説し、「これまで祖国に戻れた子どもは1859人にすぎない」と述べ、国際社会に対し継続的な支援を呼びかけた。 同日、国連総会は、ロシアが違法に連れ去ったすべてのウクライナ児童を即時かつ無条件で送還するよう求める決議を採択した。これに先立ち、国際刑事裁判所(ICC)は2023年、児童強制移送の責任を問う形で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とマリヤ・リボワ=ベロワ児童権利委員に対して逮捕状を発付している。