12月に入ると急増するのが「特殊詐欺」です。警察官を装った電話が相次ぐなか、詐欺を見抜くポイントを元刑事が解説します。 ■12月急増「ニセ警察官詐欺」 「被害者の実際の住所」を把握する“ニセ警察官”もいれば、大胆にも自ら「詐欺が増えている」と口にする“ニセ検事”まで出現。 今年、被害額全体の約7割を占めた「ニセ警察官詐欺」。実際に捜査に携わったからこそ分かる「詐欺確定」ポイントを元刑事が指摘します。 まずは新潟市に住む60代の男性とニセ警察官の実際の通話です。 警察官をかたる男 「これ逮捕になるんですけど」 60代男性 「え!逮捕されるんですか」 警察官をかたる男 「ええ。今回、詐欺罪としての逮捕になります」 今回、男性に突如、降り掛かったのは「詐欺の疑い」でした。 警察官をかたる男 「今回、容疑者が多い。一斉に緊急逮捕する。捜査順位が振り分けられる。(被害男性)さんは187番目」 60代男性 「ずいぶん後の方になる」 警察官をかたる男 「そうなんですよ」 「複数の容疑者の中で優先的に捜査を受ければ身柄を拘束されない」というのがニセ警察官側の言い分。いかにも専門用語らしい「優先捜査」という言葉ですが…。 元警視庁刑事 吉川祐二氏 「複雑な言葉を使うとだまされやすいということでよく使われるが、詐欺確定といってもいい」 さらに、ニセ検事まで登場し…。 ニセ検事 「事件が重大だということで今回、福岡中央警察署に捜査本部が立てられ、そちらに今回、出向している。凍結をして口座内を調べないといけない。生活費・支払いもあると思う、安全口座(新しい口座)からお金を引き出してお支払いいただく」 そもそも警察が検事に電話を回すことはあるのか…。 元警視庁刑事 吉川祐二氏 「電話が回されることはない。警察官から電話を直接、検察に回す、詐欺ではよく使われる手口」 電話を受けた男性自身も詐欺を疑い…。 60代男性 「あちこちで(特殊詐欺の)注意喚起が多いので」 検事をかたる男 「全国で警察官をかたる詐欺が増えてしまっている。何かあれば私に連絡して下さい、時間作るので」 全国的に増えるニセ警察官やニセ検事。少し手口を変え、愛知県の60代女性にも掛かってきていました。 ニセ警察官 「●●さんのものが実際に犯罪に使われていた。そちらの方をお知らせ致します。ちょっと確認させていただきたいのですが、押収したカードの口座に登録している住所を読み上げます。ご本人様の住所か 確認していただけますか、よろしいですか?ちょっと読み方に間違いがあったら申し訳ありません。では読み上げますね。●●市●●町…(被害者の住所)こちらの住所が現住所、もしくは以前、住んでいた場所でしょうか?」 実際の住所を読み上げるのは相手を信じ込ませるためのテクニック。さらに詐欺師はこの後、「詐欺確定ワード」を連発します。 ニセ警察官 「●●さんのものはマネーロンダリングに使われている。大阪府警としては●●さんがこの事件に関与している疑いになる。警察としてはキャッシュカードが実際に使われているので証拠品になる。これをもとに逮捕令状を申請したり、今回は経済犯罪です、金融系の犯罪ですね。今、利用中の使っている口座がいったん凍結されることになる」 マネーロンダリングや逮捕令状など、怪しい言葉はいくつかありましたが…。 元警視庁刑事 吉川祐二氏 「ある意味、今の話はすべて『詐欺の確定ワード』ということがいえる。警察が自分の捜査をしている、あなたが対象者であると重要なポイントを話すことは絶対にない。詐欺を受ける側にとっては難しい言葉を羅列されるとそれだけでも不安になってきてしまう。相手の不安をあおる言葉、被害者の不安をあおる言葉というふうに捉えていい」 少しでも不審な点があった場合はすぐに電話を切り、最寄りの警察や家族に相談することが重要だということです。