“横取り”されるウェブサイト…サイバー犯罪や偽情報拡散への悪用も、知っておきたい「ドロップキャッチ」という手法

およそ555億円――。2024年におけるクレジットカードの不正利用被害額だそうである。その背景には、フィッシング詐欺によるカード情報の盗用があげられ、実際、24年は170万件のフィッシング詐欺の報告がなされている(前年比50万件増)。 ひと昔前まで、フィッシング詐欺といえば、不自然な日本語のメール文面や明らかに怪しいURL、簡素すぎるサイトデザインなどにより、パソコン操作にさほど自信がない人でも「何かおかしい」と気づける程度の古典的な詐欺手口であった。しかし昨今、ウェブ上でのフィッシング詐欺の手口はどんどん巧妙化しており、見抜くのがかなり難しくなっている。 その背景には、技術の進化が悪用されている実態がある。正規サイトのHTMLやCSSといった設計図を丸ごとコピーし、見た目を完全に模倣する。あるいは、AIを用いて極めて自然な文章を生成したり、本物と見分けがつかない画像を作成したりする。こうして作り上げられた偽サイトが我々の油断を巧みに突いてくる。 もちろん、対策が講じられていないわけではない。ページコピーの痕跡などを手掛かりに、フィッシング詐欺サイトに共通する特徴についての研究もさまざま行われており、それこそAIを用いて不審なサイトを検知・ブロックするような対策も実装されている。しかし、詐欺を仕掛ける側もまた、AIの検知を回避するような新たな手法を開発したり、全く別の手口を編み出したりするため、後追いのイタチごっことなってしまっているのが現状だ。

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