銀座のクラブといえば、政財界の大物をはじめ、実業家、医者、弁護士、芸能人、スポーツ選手らが連日詰めかける華やかな社交場。そのマダムやママはまさに盛り場・銀座の花形といえる。いまから60年近く前、28歳で銀座のクラブのマダムにのし上がった女性が金のもつれなどから男に殺され、バラバラにされて各所に捨てられた。なぜ、そんなことに? 高度成長が続き「一億総中流」とも呼ばれた「昭和元禄」の時代。一方で沖縄返還交渉が大詰めを迎え、「70年安保」に向けた学生運動の荒々しい波が迫っていた。公害など社会矛盾の姿も。そんな一種混沌とした中で、彼女が陥ったのは大都会のまばゆい光の裏にひそむどす黒い闇だったのか。 当時の新聞記事は見出しはそのまま、本文は適宜書き換え、要約する。文中いまは使われない差別語、不快用語が登場するほか、敬称は省略。殺害された女性は「M」、犯人の男は「K」とする。(全3回の1回目/ 続きを読む ) ◆◆◆