交流サイト(SNS)などでつながる匿名・流動型犯罪グループ(匿流)が関与したとされる事件で、同じ住宅が繰り返し狙われるケースが相次いでいる。茨城県筑西市で昨年11月の同じ日に別グループによる強盗と窃盗事件が続き、同県鹿嶋市では昨秋以降に計4回の侵入被害に遭った。住人の資産状況などの「標的情報」が匿流内で出回っている可能性があり、県警は対策や注意を呼びかけている。 ■家に現金 「多額の現金が家の中にある」 同県筑西市の男性(50)方で2025年11月、敷地内の事務所兼倉庫から金庫などが盗まれた事件。実行役として今年7月に逮捕された少年ら4人に、指示役を通じて男性の資産情報が流れていた。 県警によると、少年らの一部が闇バイトに応募して盗みに入ったみられ、事務所のほか住宅内も物色された跡が多数あった。指示役の男と面識はなく、秘匿性の高い通信アプリでやりとりしていた。 少年らが侵入する前の同日未明には、別の男らがこの家に押し入り、男性に暴行を加える強盗傷害事件が発生。少年らは警察が現場検証を終え、男性が留守にしている間に侵入したとみられる。県警は今年1月以降、強盗事件の実行役と指示役の男5人を逮捕。二つの事件は別の匿流の犯行とみて捜査している。 ■「分業化」 匿流は、実行役を闇バイトの募集や人づたいに集め、事件ごとにメンバーが入れ替わる特徴がある。 筑西の窃盗事件を計画したのは、7月に逮捕された職業不詳の男(33)。家人の資産状況や間取りなどの情報を基に犯行を計画する「案件屋」で、県警が摘発するのは初めてだった。 県警によると、案件屋は入手した情報を基に標的を選定して犯行計画を立案。「案件」として仲介役や指示役などに情報を提供し、指示役が末端の実行役に具体的な指示を出す。指示役が案件屋を兼ねるケースなどもあり、摘発を逃れるため「分業化」が進んでいるという。 ■下見活動 鹿嶋市の法人役員男性(62)方で25年10月に空き巣事件があり、今年2月と5月、6月にも侵入被害が相次いだ。 今年起きた3件の事件は、これまでに住居侵入や強盗予備の疑いで計9人が逮捕されており、このうち無職の男(32)は、栃木県上三川町(かみのかわまち)で起きた強盗殺人事件の約1週間前に現場周辺で目撃された人物だった。県警はそれぞれ別の匿流の犯行とみて調べている。 特定の住宅で被害が相次いだ背景について、捜査幹部は「犯罪グループの間で標的情報が広く流れた結果、複数のグループの狙いが集中した可能性がある」と話す。 このため県警は、自身の資産や個人情報を他人に安易に伝えないことや、防犯カメラ設置などの防犯対策を推奨。犯人らは事前に下見活動をすることがあるため、「不審な人物や車両を見かけた場合はすぐに通報してほしい」としている。