ロブ・ライナー監督夫妻死亡、32歳の息子逮捕 「トランプ錯乱症」と米大統領投稿

映画「スタンド・バイ・ミー」などを手がけた映画監督、俳優、プロデューサーのロブ・ライナーさん(78)と妻が12月14日、米ロサンゼルスの自宅で死亡しているのが見つかった事件で、ロス市警は15日、ライナーさんの息子ニック・ライナー容疑者(32)を殺人の疑いで逮捕・訴追したと発表した。トランプ米大統領は、反トランプ氏を鮮明にしていたライナーさんが「トランプ錯乱症候群」の見解のために死に至ったと交流サイト(SNS)に投稿。家族の悲劇に政治を持ち込んだトランプ氏に対して共和党と野党民主党の超党派から反発の声が出ている。 ニック容疑者は14日夜に拘束され、市警はライナーさん夫妻の死亡に関与していると判断したと説明した。 同容疑者はこれまで、薬物乱用との闘いのほか、リハビリ施設への入所を拒否してホームレスになったことを公表。2016年の米誌ピープルのインタビューで、薬物乱用により15歳で初めてリハビリ施設に入ったと明かし、少なくとも17回入退所を繰り返したという。 こうした経験をもとに、父親と共同で脚本を書いた映画「ビーイング・チャーリー」が2015年に公開された。 地元メディアによると、ニック容疑者は13日夜、コメディアンのコナン・オブライエン氏主催のパーティーで両親と口論しているところを目撃されていたという。 ライナーさんは、04年大統領選で民主党のケリー候補のキャンペーン広告を作るなど、政治活動にも熱心だった。 トランプ米大統領は15日、映画監督兼俳優のロブ・ライナーさん(78)と妻ミシェルさん(70)が殺害された事件を巡り、反トランプ氏を鮮明にしていたライナーさんが「トランプ錯乱症候群」の見解のために死に至ったと交流サイト(SNS)に投稿した。 家族の悲劇に政治を持ち込んだトランプ氏に対して共和党と野党民主党の超党派から反発の声が出ている。 ロス市警は15日、ライナーさんの息子ニック・ライナー容疑者(32)を殺人の疑いで逮捕・訴追したと発表した。 ライナーさんは第1次トランプ政権の2017年、米誌バラエティでトランプ氏のことを「精神的に適格な状態ではない」と問題視し、「米国大統領職に就いた人物の中で圧倒的に最も不適格だ」と評していた。 トランプ氏は15日の自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」の投稿でライナーさんのことを「苦しみ、葛藤していた」とし、トランプ氏に反発することで「彼が引き起こした怒りのために」亡くなったと書き込んだ。 さらに「彼はドナルド・J・トランプ大統領への激しい執着によって人々を狂わせたことで知られている」とも主張した。 ホワイトハウスはこれらのコメントをX(旧ツィッター)の公式アカウントで再投稿した。 これに対し、南部ケンタッキー州選出のトーマス・マッシー下院議員(共和党)は「ロブ・ライナーさんへの評価はさておき、残酷に殺害された人物に対してこの発言は不適切で無礼だ」と批判。南部ジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党)は「これは政治や政敵の問題ではなく、家族の悲劇だ」と反論した。 民主党もトランプ氏の投稿を「冷酷だ」と非難。オバマ政権で大統領上級顧問を務めたデービッド・アクセルロッド氏はXへの投稿で、トランプ氏の人格がゆがんでいるとして「深い喪失と悲嘆に暮れるライナー家への共感と優しさの欠如は悲しく、また本性をあらわにしている」と指摘した。

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