子どもを性被害から守るため、子どもと接する職員の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」が2026年12月に始まります。スタートに向けて、事業者を対象とした運用指針案がまとまりました。そもそも日本版DBSとは何なのか。解説します。 Q 日本版DBSはどんな制度? A 子どもの性被害を防ぐため、学校や保育所などに子どもと接する職員の性犯罪歴の確認を求める。犯歴が確認された場合は、子どもと接しないよう配置転換することなどを義務づけ、就労を制限する仕組みだ。英国の犯歴確認や就労制限の仕組み「DBS(Disclosure and Barring Service)」を参考につくられた。 Q 制度ができたきっかけは? A 2020年にベビーシッターが強制わいせつ容疑などで逮捕された事件などを受け、子どもと接する大人からの性被害を防ぐため、日本でもDBSの導入を求める声が高まった。24年の通常国会で制度をつくるための「こども性暴力防止法」が全会一致で成立。26年12月25日に施行される予定だ。 Q 制度の対象はどんなところ? A 職員の性犯罪歴の確認が義務になるのは、小中高校や認可保育所、児童養護施設などだ。一方、国から認定を受けることで犯歴確認が求められる事業者もある。認可外保育所や一時預かり事業、放課後児童クラブ、学習塾などだ。職員への研修や子どもの相談体制の整備など、性暴力を防ぐ措置をとることで、国の認定を受けられる。 認定を受けるかは任意だが、認定マークを広告や受付、名刺などに掲げることで安全性の高さを示すことができる。 Q 犯歴が確認される対象は? A 現職者や採用内定者だ。採用過程であらかじめ誓約書などで犯歴がないことを確認したうえで、内定後に同法に基づいた犯歴確認を行う。選考時に犯歴を隠していて後に発覚した場合は、内定取り消しもある。 職種では、教員や保育士など子どもに常に接する人たちが確認対象だ。事務職員や送迎バスの運転手など子どもに継続的に接する可能性のある職員は、現場の判断で犯歴確認を行う。ボランティアやスポットワークも含まれる。 Q 確認される性犯罪歴って何? A 不同意わいせつ罪などの刑法犯や、痴漢や盗撮など自治体の条例違反だ。犯歴を確認できるのは、拘禁刑は刑を終えてから20年、執行猶予がついた場合は判決確定日から10年、罰金刑は刑を終えてから10年だ。不起訴事案や行政処分は含まれない。 Q 初犯はどう防ぐ? A こども性暴力防止法が求めるのは犯歴確認だけではない。初犯対策も重要だ。職員への研修、子どもとの面談、被害が疑われる場合の調査、性暴力があった場合には職員の懲戒処分などの対応を求める。