子どもの数が減っていても医療的ケア児は増加 痛ましい事件が起きないために医ケア児の母として思うこと

「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。 * * * 12月後半になりました。早いもので2025年ももうすぐ終わりますね。 そんな中、私は最近、月に2回ペースで医ケア議連(超党派医療的ケア児者支援議員連盟)に出席しています。私が監事をしている「一般社団法人 障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」がオブザーバーとしてこの議連に登録されているのです。 医ケア議連は2026年度に医療的ケア児支援法の改正を目指しており、今とても注目されています。私は前身の「永田町子ども未来会議」と医ケア議連と合わせて、医療的ケア児の長女のことや、家族として直面している「18歳の壁」などについて2度発表させていただき、その後の動向にもとても興味を持っているため、こうして参加させていただけることを本当にありがたく思っています。大げさではなく、もしかすると今一番行きたいところは医ケア議連かもしれません(笑)。 障害のある子どもたちを育てる中で政治にまったく期待できずにいた私が、この頻度で永田町に通う日が来るとは驚きですが、貴重な機会を無駄にしないように今後も学ばせていただこうと思っています。 今回は医療的ケア児者について書いてみようと思います。 ■亡くなっていた赤ちゃんが助かるように 先月のこのコラムで、10年ほど前の日本ではまだインクルーシブ教育が普及しておらず、障害のある子どもたちの就学先に不安を抱えていた保護者が多かったことを書きました。この時期は、ちょうど日本の周産期医療が劇的に進歩し、知的に遅れのない軽度肢体不自由児が増え始めた時期と重なります。以前は亡くなっていた赤ちゃんが助かるようになり、寝たきりの障害が残るレベルだった早産の赤ちゃんが軽度の脳性まひになるという事例がとても増えたのです。 そして軽度肢体不自由児と同時に頻繁に見かけるようになったのが医療的ケア児です。医療技術の進歩は出産時の救命率が上がっただけでなく、胎児診断や胎児治療なども可能になり、以前はおなかの中で亡くなっていたような病状の赤ちゃんが誕生できるようになりました。

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