7月刊の梶原阿貴著『爆弾犯の娘』が既に2万部を突破し、話題になっている。著者の父親は梶原譲二。1970年代に起きた爆弾事件に関与したとして指名手配され、14年間逃亡生活を続けた人物だ。1985年に出頭して逮捕され6年間獄中生活を送った。逃亡といっても実は妻と娘が暮らす家に隠れていたのだが、阿貴さんは小学校高学年になるまで事情を知らされず、父親の名前も教えてもらえなかった。そういう半生をつづったのが今回の本だ。 梶原さんに今回インタビューを申し込んだのは、本誌がこの間取り上げている「加害者家族」の問題との関わりだ。例えば10月16日の朝日新聞「be」が、「加害者家族」の問題として、松本麗華さんらと並んで梶原さんを取り上げている。 「加害者家族」といっても、これまで1970年代に武装闘争などに関わった人たちの子どものことはほとんど取り上げられてこなかった。旧統一教会やオウムの子どもたち、いわゆる「宗教2世」についてはいろいろ取り上げられてきたが、70年代の闘争で逮捕されたり指名手配されたメンバーの子どもたちも一定の数をなしているはずで、彼らは何を感じ、どんな人生を歩んできたのか。 本誌は今も元日本赤軍の重信房子さんの連載を掲載しているし、元連合赤軍の吉野雅邦さんや多くの元活動家の手記を掲載してきた。70年代の元活動家との関わりは、今もいろいろある。彼らの子どもたちが、どういう人生を送り、何を感じてきたかというテーマは、これまで取り上げられてこなかっただけにとても興味深い。その思いも含めて、梶原阿貴さんと出版元・ブックマン社の小宮亜里さんにインタビューした。