「差別により人間以下の扱いを20年以上受けています」――その攻撃的なファイトスタイルから「ハリケーン」と呼ばれたアメリカの黒人ボクサーがいる。ルービン・カーター。世界タイトルマッチにも挑戦したことのある彼は28歳のとき、突如、白人3人を殺害した犯人として逮捕される。 目撃証言は曖昧で物的証拠もなかったにもかかわらず、裁判で下った判決は終身刑。しかし、カーターは獄中でも無実を訴え続け、20年後ついに自由の身となる。予断と偏見が生んだ冤罪の恐怖と、リング外でも決して己の意志を曲げなかった男の長き闘いを、新刊『 世界で起きた恐怖の冤罪ミステリー35 』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編を読む ) ◆◆◆