現在、世界中で大ヒットを記録し、日本でも快進撃を続けている「ズートピア2」には、過去のさまざまなディズニー・アニメーション作品へのオマージュが捧げられており、公開直後から大きな話題を集めている。この記事では、映画.comが独自にリサーチ&考察したオマージュをご紹介。これを知れば、すぐにもう1度見たくなるはず! 【あらすじ】 警察学校を無事卒業し、警察官となったジュディとニックは、哺乳類しかいないはずのズートピアに突如現れたヘビのゲイリーを探すため、潜入捜査を行う。街にヘビが現れたのは、なんと100年ぶり。ズートピア誕生の裏に隠された秘密が明らかになる重要ミッションで、ジュディとニックの絆が試される。 ※本記事では、公開中の「ズートピア2」に登場するディズニー作品へのオマージュを、具体的なシーンにも触れながら紹介しています。「ズートピア2」の重大なネタバレも含まれていますので、未見の方は、十分ご注意ください。またオマージュの内容は、あくまで映画.com独自の考察となります。紹介する5作品は、ディズニープラスで配信中です。 ●1.「ダンボ(1941)」 コンビ結成早々、トラブルを起こしてしまったジュディとニックは、警察署内のコンビを対象にしたカウンセリングを受けることに。同席したゾウのフランシーヌが、ネズミの相棒に驚くシーンは、「ダンボ(1941)」からの引用と思われる。同作では、意地悪なゾウたちを懲らしめようと、ネズミのティモシーが騒ぎを起こす場面がある。 ●2.「レミーのおいしいレストラン」 ドレスアップしたジュディとニックは、ズートピア創業者一族の長で、絶大な権力を握るオオヤマネコの実業家であるミルトン・リンクスリーの豪邸で開催されたパーティに潜入。そこでヘビのゲイリーを見つけ、追跡劇が始まる。 ゲイリーを追って、ジュディとニックが飛び込んだのが、豪華なディナーを用意する厨房だった。そこでは、ライオンのシェフが丁寧に料理を盛り付けていたが、コック帽の中には、ネズミが隠れていた。これは「レミーのおいしいレストラン」へのオマージュであることは、ほぼ確実。 さらに、同じシーンにアライグマがいるのも注目したいポイント。これは「レミーのおいしいレストラン」をパロディ化したアカデミー賞作品「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」への“逆オマージュ”であるだけではなく、同作でアカデミー賞助演男優賞に輝いたキー・ホイ・クァンが、ヘビのゲイリーの声優を務めていることも関連したオマージュの数珠つなぎになっている。 ●3.「塔の上のラプンツェル」 豪邸内の追跡劇を経て、ついにジュディはゲイリーを追い詰めるが、その怯えた様子から、助けを求めていると察し、近づこうとする。しかし、そうとは知らないニックは、危険だと判断し、ゲイリーをフライパンで殴ってしまった。予告編にも登場するこのシーンは「塔の上のラプンツェル」で、ラプンツェルが塔に忍び込んだフリン・ライダーを、フライパンで後ろから殴るシーンにそっくりに見える。 ●4.「ライオン・キング(1994)」 ズートピアの陰謀論を語るポッドキャスト配信者のビーバー、ニブルズの手引きで、ジュディとニックは、ズートピアに隠れ住むトカゲの重鎮、ヘイスースと対面する。早速、ゲイリーに関する情報を聞き出そうとするが、ヘイスースは「まずはこれを食え」と哺乳類にとっては馴染みが薄い昆虫を差し出す。 このシーンは「ライオン・キング(1994)」で、主人公のシンバが不慣れな昆虫を口にする姿を連想させる。また、罠にはめられたニックの手に、ミルトンが爪を立てるシーンは、崖から滑り落ちそうになったムファサの前足に、爪を立てた悪役スカーを引用しているのではないだろうか。 ●5.「アナと雪の女王」 ジュディとニックを引き連れて、ニブルズは爬虫類が集う地下バーにやって来て、ドアの役割を果たすカメの甲羅をノックする。このノックの回数とリズムは、「アナと雪の女王」で幼少期のアナが、姉・エルサの部屋のドアをノックする際と同じだ。 また、映画のクライマックスでは、協力者だと思っていたリンクスリー家の御曹司、パウバートがジュディを裏切るという衝撃的な展開が待っている。もちろん、これは「アナと雪の女王」で、ハンス王子がアナを裏切る構図にそっくり。名家に生まれながら、自分は認めてもらえない末っ子の“こじらせ”も共通している。 その後、吹雪のなかで、パウバートがニックと対峙し、ジュディに降りかかった悲劇を説明するシーンは、ハンス王子がエルサに対して「アナは死んだ」と嘘をつくシーンにとても似ている。 その他、前作「ズートピア」で事件の首謀者として逮捕された羊のベルウェザー副市長も登場。現在は刑務所に収監されているが、その姿は「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターを連想させる。もちろん“羊”つながりのオマージュだろう。 映画の終盤、吹雪の中で追い詰められたパウバートが巨大迷路に迷い込むシーンが、「シャイニング」のオマージュであることは一目瞭然。同作のテーマ曲も一瞬流れるので、ぜひ耳を傾けてほしい。 また、劇中では「ボブ・タイガー」という名前のトラが天気予報を伝えているが、声優を務めているのは、なんとウォルト・ディズニー社のCEOであるボブ・アイガー氏。彼がメディア業界で初めて就いた仕事の1つが、ニューヨークの地元テレビ局での天気予報だったとされている。