東京都杉並区のアパートを訪れた東京地裁の執行官ら2人を刺したとして15日、住人の男(40)が殺人未遂容疑で警視庁に逮捕された。2人は立ち退きを求める強制執行の手続きのため部屋を訪れていたという。一般的に強制執行の現場とはどのような状況なのだろうか。 大手不動産会社の60代男性は、これまでに数百回強制執行に立ち会ったという。一般的に住人が家賃を滞納した場合、家賃を支払うよう催促し、住人が応じなかった場合に明け渡しを求める訴訟を起こす。 明け渡しを求める判決が出ても住人が立ち退かなかった時に、強制執行の申し立てを行う。 「催告」と呼ばれる手続きでは、執行官や立会人のほか、合鍵を持つ不動産会社などが訪れるケースが多い。運び出す荷物の見積もりも、別の業者がこの時にするという。 まずは、ピンポンしたりドアを叩いたり。反応がなければ、住人に「あけて下さい」と呼びかける。 応答がない場合は、合鍵を使って中に入り、退去期限の日にちを記した書面を住人に掲示する。その後、貴重品などを持って出て行く住人がほとんどだが、居座り続ける住人もいる。 期日が来ると、立ち退きの「断行」と呼ばれる手続きに移る。 荷物を運び出す業者の人手が必要で、催告より多い10人程度で訪れ、終われば鍵を変える。住人が家賃滞納を始めてから断行まで、1年程度かかるケースもあるという。 東京地裁は15日、事件は「賃貸物件である建物の明け渡しの強制執行手続き(断行)」で起きたと明らかにした。 不動産会社の男性はこれまでに、強制執行でトラブルに遭遇したことはほとんどなかった。一緒に訪れる人たちがよく持っていくのは、室内の電気が切れている時のための懐中電灯くらいだという。 今回の事件については「危害を加えられることは、想定していなかったのかもしれない」と話す。「まさか刺されるとは。ただただ恐ろしい」(三井新)