全国各地で中高生間の暴行を撮影した動画が交流サイト(SNS)で拡散されているが、沖縄県内では数年前に少年が別の少年に暴行を加える様子を周囲から撮影したとみられる動画がX(旧ツイッター)上で投稿、拡散されている。 投稿には暴行への非難とともに、「特定まだ?」などと加害少年らの個人情報をさらす「私刑」を求めるコメントも集まる。一方、県警は事件処理を既に終えており、専門家は「正義感に基づく発信も、過剰になると他人の権利を侵害しうる」と警鐘を鳴らす。 県内で撮影されたとみられる動画は13日午前、フォロワー数が約100万人にも及ぶアカウント運営者のサブアカウントが投稿。一方、投稿には撮影された時期などは示されていない。 別の複数のアカウントによる同様の投稿も相次ぎ、コメント欄には「特定班まだ?」「誰でしょうか」と個人の特定を求めたり、真偽不明の個人情報を発信したりする内容も目立つ。動画の総閲覧数は16日時点で数百万回にも上っている。 県警は動画内容を数年前の事案とし、加害少年について「すでに必要な対応は終えている」と説明。動画拡散により二次被害を生む可能性があるとして、被害者の保護に当たるとともに削除要請も検討しているという。また関係者によると、加害少年はすでに法令に基づく処分を受け終えたとされる。 一方、一連の投稿には「沖縄県警、動いてください」「逮捕しろ!」などと、事実と異なる情報を含むコメントも残されたままになっている。 SNS上の中傷被害に詳しい清水陽平弁護士は「Xにはインプレッション(人目に触れた数)に応じて収益化される仕組みがあり、過激なものほど金になる」と説明。全国的に広まる暴行動画は「仲間内で面白半分に回しているうちに想定を超えて広まり、『これはひどい』と思った人が拡散に結び付けているのではないか」との見方を示す。 悪ふざけを写した動画は撮影者も含めて特定されたケースもあり、「元の投稿者が削除しても保存した人に拡散されれば『デジタルタトゥー』になる」と指摘する。 清水弁護士は「暴行自体は責められるべきだ」と前置きしつつ、「警察や教育機関以外から『私刑』を誘発する行動が社会的に正当なのかを問うべきだ」と主張。「正義感に基づく素朴な感情での発信が他人の権利侵害になり、自身が責任追及を受けることもある」と拡散する側にもリスクがあることを強調した。