長く組織のトップに君臨するその人物は、暴力団とも渡り合うと言われている。 だが警察の監視下にあった姿は1年前、突然に消えた。 「全国民の力を借りて、必ず見つけ出したい」(捜査幹部) 国内最大規模の違法スカウトグループ「ナチュラル」の壊滅に向け、警視庁暴力団対策課は21日、グループのトップ「木山」こと小畑寛昭容疑者(40)を東京都暴力団排除条例違反容疑で公開手配した。 ◇年間収益44億円、一部は暴力団に ナチュラルは、東京や札幌、名古屋、大阪、熊本など全国の繁華街で活動する匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)の代表格。女性を性風俗店に紹介し、売り上げの一部を受け取る「スカウトバック」を主な収益にしてきた。 警視庁や捜査関係者によると、全国で1500人以上が在籍し、2022年には44億円以上を得ていた。収益の一部は暴力団にも流れているとされる。 ◇15年以上トップに君臨 小畑容疑者は「木山」という通称で知られ、東京・歌舞伎町で09年ごろにナチュラルを立ち上げた。会社を模した組織で、最近は「会長」の立場にあるという。 ナチュラルは20年に歌舞伎町で指定暴力団住吉会系の組員らと乱闘事件を起こし、双方に逮捕者が出た。 以降、各地の繁華街を縄張りにする暴力団にみかじめ料を払って協力関係を築き、違法スカウト活動を拡大させてきた。 警視庁は、小畑容疑者が主に暴力団側との話し合いを担っているとみる。 ◇手配容疑は「みかじめ料」支払い 小畑容疑者は23年7月24日、仲間と共謀し、「暴力団排除特別強化地域」に指定された渋谷区宇田川町でのスカウト活動を認めてもらうためのみかじめ料として、特定抗争指定暴力団山口組系傘下組織幹部の組員(39)に現金60万円を渡した疑いがある。 警視庁は25年1月、この容疑で逮捕状を取り、グループ幹部らの一斉摘発を目指していた。しかし、1月下旬の強制捜査直前に小畑容疑者らの行方は分からなくなり、逮捕者はわずか2人にとどまった。 ◇捜査情報の漏えいも ナチュラルを巡っては11月、暴力団対策課の男性警部補(懲戒免職)がナチュラル側に捜査情報を漏えいしたとして、地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された。 漏えいした情報には、メンバーの関係先住所を記したリストや、拠点を監視する捜査用カメラの位置が分かる画像が含まれていた。 捜査関係者の間では、漏えいが幹部らの逃走につながったとの見方もある。その後も警視庁は小畑容疑者の所在をつかめず、氏名や写真の公開に踏み切った。 ナチュラルは近年、「広告ナビ」「ホワイト」「スマイル」などと名称を変えながら活動。秘匿性が極めて高いスマートフォン用アプリを独自開発し、捜査員の顔写真を共有するなど、摘発を逃れる対策を講じている。 グループでは、「規約」に違反した者に暴行を加える手荒な制裁も確認され、警視庁幹部は「これ以上看過できない。現役のメンバーの離脱促進や若年層のさらなる加入を食い止める」としている。 小畑容疑者は身長175センチぐらいで、筋肉質の体形。右肩から腕に竜の入れ墨がある。情報提供は暴力団対策課(03・3506・8787)。