反町隆史『ラムネモンキー』めちゃくちゃおもしろいのに低視聴率となった “当然の理由” とは

ノスタルジックな雰囲気に独特なストーリーでおもしろかった。 「1988青春回収ヒューマンコメディ」と謳われている反町隆史×大森南朋×津田健次郎のトリプル主演作『ラムネモンキー』(フジテレビ系)のことだ。 しかし、1月14日(水)に放送された第1話の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は、世帯4.8%、個人2.6%と不発。 いまのご時世、リアルタイム視聴を計測する視聴率に一喜一憂すべきではないというのが前提ではあるが、それでも世帯5%を切ってしまってはヒットとはほど遠い。ちなみに本作はTVerのお気に入り登録数も37.6万(1月19日現在)とパッとしない。 なぜ、おもしろいのに数字に結びつかなかったのか。 ■視聴しないとどういう作品かわかりにくい 中学時代に映画研究部でつるんでカンフー映画を撮っていた吉井雄太(通称ユン/反町)、藤巻肇(通称チェン/大森)、菊原紀介(通称キンポー/津田)の3人は、いまや51歳。 ユンは大手商社の営業部長として勝ち組人生を歩んでいたが、贈賄容疑で逮捕・起訴されてしまう。 チェンは夢を叶えて映画やドラマの監督になっていたが、パワハラを理由に連ドラを降板させられる。 キンポーは家業を継いでしがない理容師をしており、認知症を患っている母親と2人暮らし。 1988年の回想シーンを随所に挿入しながら、人生に行きづまっていた彼らが37年ぶりに再会して――というストーリーだ。視聴率が悪かった原因として、真っ先にあげられるのは内容のわかりにくさだろう。 『ラムネモンキー』というタイトルと「1988青春回収ヒューマンコメディ」というジャンル表記だけでは、どんなストーリーなのか不明瞭。公式サイトのイントロダクションやあらすじをじっくり読めば、中学時代の女性教師の失踪事件がカギを握る物語ということはわかるのだが、それでも実際に第1話を視聴しないと、どういうテイストでどういう方向性のドラマなのかはわかりにくい。 かく言う筆者は、視聴前はお気楽に観られるポップなコメディかと予想していたが、実際に観てみると思っていたよりミステリー色が濃いめで、コメディ色は薄めだったことに驚いた。 3人の地元の建設現場で人骨が発見されるのだが、第1話ラストでその白骨化した遺体が、映研の顧問をしてくれていたミステリアスな臨時教師・宮下未散(通称マチルダ/木竜麻生)のものだと判明。第2話からは、マチルダを殺した犯人を見つけ出すというのがストーリーの軸となるようだ。 ノスタルジックな1988年のシーンを挿し込みながら、憧れのお姉さん的存在だったマチルダの死の真相を追及していくという展開にとても引き込まれたのだが、そのおもしろさは観てみないとわからないものだった。 ■昭和末期に少年だった “俺たちのドラマ” 『ラムネモンキー』はオリジナリティあふれるテイストとストーリーだが、共通点がある映画はいくつかあった。 まず思い出したのが、3部作で公開された邦画『20世紀少年』シリーズ(2008年~2009年公開)。記憶が曖昧な少年期の思い出が、ミステリー要素の核になっている部分など通ずる点があった。 あるいは、監督・脚本・製作をJ・J・エイブラムスが担い、1979年のアメリカの田舎町を舞台とした洋画『SUPER8』(2011年公開)。古きよき時代を描いたジュブナイルものであり、主人公の少年たちが自主製作映画を作っている部分が共通している。 筆者は『20世紀少年』や『SUPER8』が好きだったこともあり、『ラムネモンキー』がぶっ刺さったのだ。 要するに、このドラマを一言で表現するなら “おっさんたちのジュブナイルもの”。 『ラムネモンキー』ではほかにも、当時の少年たちがハマッていた『機動戦士ガンダム』(1979~1980年)や『超時空要塞マクロス』(1982~1983年)といったアニメ作品の小ネタが満載。そして個人的な感想だが、マチルダ役の木竜麻生が恋愛ドラマの金字塔『東京ラブストーリー』(1991年)時代の鈴木保奈美に似ているように感じ、より魅力的に見えた。 ちなみにマチルダが失踪したのが1988年12月31日。「平成」が1989年1月8日から始まるため、描かれているのは「昭和」の終焉直前ということで、それもなかなか感慨深いものがある。 いずれにしても『ラムネモンキー』は、昭和末期のあの頃を少年として過ごしていた “俺たちのドラマ” 感が強かったのだ。 けれど、それこそが低視聴率の原因だったのではないか。琴線に触れる層があまりにも限定的な気がするのだ。 51歳設定の主人公3人に近い“40代後半から50代前半の男性” には刺さる要素がこれでもかとあるのだが、逆に言うとその年齢層以外や女性には “蚊帳の外” 感が強かったのかもしれない。 もちろんその年齢層以外や女性でも本作にハマる人は一定数いるのだろうが、ドンピシャで芯を食ったおもしろさを体感できるのは、やはり “40代後半から50代前半の男性” ぐらいに違いない。 ――物語が本格的に動き出すのは今夜放送の第2話から。筆者と同じ “昭和末期の少年たち” には、いまからでもぜひ観てもらいたい。 ●堺屋大地 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『コクハク』(日刊現代)、『日刊SPA!』『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿

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