ケイラ・エプスティーン 米ミネソタ州の学校当局と家族側の弁護士は22日、移民税関捜査局(ICE)の職員が20日に、移民取り締まり作戦の過程で5歳の男児を拘束したと明らかにした。米当局は、取り締まり対象は男児の父親で、父親が息子を「置き去りにした」のだと主張している。 学区と弁護士によると、プリスクール(未就学児の保育施設)に通うリアム・ラモスちゃんは拘束当時、父親と一緒にいた。国土安全保障省(DHS)によると父親の名前はアドリアン・アレクサンダー・コネホ・アリアスで、職員が自宅の私道で声をかけた際、息子と一緒だったという。 DHSはソーシャルメディア「X」に投稿した声明で、「ICEは子どもを標的にしていない」(太字は原文で大文字)と表明。対象は父親で、「不法外国人」の父親が、職員に接触された際に息子を「置き去りにした」のだと主張した。 同州コロンビア・ハイツ公立校学区のゼナ・ステンヴィック教育長は、「なぜ5歳の子どもを拘束するのか」、「この子どもが暴力的な犯罪者に分類されるとでも言うのか」と批判した。 これに対してICEはXで、子どもは拘束されていないと否定した。「犯罪者の不法外国人がICE職員から逃走する中で、子どもを放置したため、職員は厳しい寒さの中で子どもの安全を確保した」(太字は原文で大文字)と書いた。 さらに、「ICEは、家の中にいた家族に対し、子どもを引き取るよう繰り返し働きかけた。家族側は子供の引き取りを拒否した。父親は、子どもと一緒にいたいと職員に伝えた」とも、ICEは書いた。 BBCはDHSにコメントを求めているが、DHSはすぐには応じなかった。 学区がBBCに提供した写真には、ウサギ型の冬用帽子をかぶった男の子が屋外に立ち、男の子が背負っているバックパックを職員がつかんでいる様子が写っている。 学区によると、これは通行人による写真で、「身元が確認された地域住民」だと説明したが、撮影者の氏名は明らかにしなかった。 家族の代理人を務めるマーク・プロコシュ弁護士は22日の記者会見で、リアムちゃんと父親はテキサス州サンアントニオの拘束施設に収容されており、弁護士たちが連絡を取ろうとしているのだと話した。 プロコシュ弁護士は、親子は2024年にエクアドルからアメリカに到着し、難民申請をしていたと説明した。 「この家族は、ICEから逃げようとしていたわけでは全くない」、「定められた手続きをすべて順守していた」と弁護士は強調した。 学校当局によると、ICE職員は家の中にほかに人がいないか確認するため、玄関をノックするようリアムちゃんに求めたという。 リアムちゃんは当時、保育施設から帰宅したばかりだったと、ステンヴィック教育長は記者会見で説明した。同居する別の成人が男児を家の中に入れて保護しようとしたが、拒否されたという。 メアリー・グランルンド教育委員は、自分が当時、現場にいたため、自分がリアムちゃんを引き取れると移民当局に伝えたにもかかわらず、ICEはそれでもリアムちゃんを拘束したのだと述べた。 ステンヴィック教育長は、同学区ではこのところ生徒が計4人拘束されており、その中には10歳の児童1人と17歳の生徒2人が含まれると述べた。「地域で続くICEの活動は、深刻な心的外傷をもたらしている」と、教育長は記者団に話した。 ミネソタ州での移民取り締まりに対する抗議が続く中、22日に同州を訪れたJ・D・ヴァンス副大統領は、ICEにはほかに選択肢がなかったと記者団に説明した。 「父親が逃げたからだ」と副大統領は述べ、「(ICE職員は)ほかにどうすべきだったのか。5歳の子どもを凍死させるべきだったのか」、「アメリカに不法滞在している外国人を逮捕してはならないのか」などと話した。 副大統領はさらに、「法律に違反した人間を、子どもがいるという理由で逮捕できないというなら(中略)その理屈は成り立たない」と付け加えた。 DHSは、ミネソタ州の治安を回復するため「最も危険な犯罪歴のある不法外国人」を逮捕していると主張している。20日に開かれたDHSの記者会見で、米国境警備隊のグレゴリー・ボヴィーノ司令官は、「我々の作戦は合法で、標的を絞ったものであり、この地域社会に重大な脅威をもたらす人物に焦点を当てている」と述べた。 「メトロ・サージ作戦」と名付けられた移民取り締まりは、ミネアポリス、セントポールなどミネソタ州内の都市で行われ、住民はこれに強く反発している。 ミネアポリスでは今月7日、ICE職員がルネー・グッドさん(37)を射殺地元および州当局と住民が、これを強く非難した。トランプ政権は、グッドさんが車両を武器として使用したため、職員の発砲は正当防衛だったと主張している。 22日には、米連邦下院で野党・民主党の議員7人が共和党とともに、ICEを含む政府機関への予算約1兆2000億ドル(約190兆円)の予算案を可決した。この予算案は、DHSに対して644億ドル、うち100億ドルをICEに割り当てる内容で、賛成220、反対207で可決された。予算案は、上院の承認をまだ必要としている。 下院で予算案賛成に回った民主党議員らは、DHS管轄下にある運輸保安局および連邦緊急事態管理庁への資金確保のためだったと説明している。 (英語記事 ICE detains five-year-old and father in Minnesota, lawyer says)