我先に尹大統領と面会する与党議員ら…「身を滅ぼす道」であることを知らないのか

与党「国民の力」では最近、嶺南圏(慶尚道エリア)の議員を中心に時ならぬ「競争」が繰り広げられています。他でもない京畿道儀旺市(ウィワンシ)のソウル拘置所に収監されている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領との「面会」競争です。尹大統領側が「裁判に集中するため、政治家との面会はやめる」という意向を表明したにもかかわらず、尹大統領の面会を希望して整理券を取り、順番を待っている議員だけでもおよそ30人に上るそうです。不法非常戒厳を宣布し、国を危機的状況に追い込んだ尹大統領と絶縁するどころか、尹大統領の目に留まろうと、我先に拘置所へと駆けつける奇現象が続いているのです。一体なぜこのようなことが起きているのでしょうか。 「裏切り者」 2017年の朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾以降、国民の力の議員たちの脳裏に最も恐ろしく刻まれている言葉です。早期大統領選挙が既成事実となる雰囲気の中、最近、国民の力の強硬支持層が「イ・ジェミョン(共に民主党代表)はだめだ」と叫びながら結集しています。最近、東大邱(トンテグ)駅で開かれた「尹大統領弾劾反対」集会には5万2千人余り(警察推算)が集まりました。 国民の力の議員たちは、このような強硬支持層の顔色をうかがわずにはいられません。尹大統領の逮捕状執行を控え、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸前の集会に行かない議員たちに「裏切り者」と書かれたおびただしい量の携帯メールが届いたこともあるからです。裏切り者とみなされないためには、あまり気が進まなくても、「戒厳令ではなく啓蒙令」であり「不正選挙」疑惑を既成事実とする発言が飛び交うこのような集会に顔を出さなければならず、尹大統領の面会に駆け付け、「義理」を果たす姿を見せなければならないのです。 国民の力では3日、クォン・ヨンセ非常対策委員長、クォン・ソンドン院内代表、ナ・ギョンウォン議員が尹大統領に初めて面会しました。党のツートップが一気に動きましたが、その時も「個人として」、「人間的道理」として訪れたと言っていました。この日、尹大統領の弁護人であるソク・トンヒョン弁護士が「YTN」のラジオ番組に出演し、「今、過度な裁判日程のため、政界関係者やそれ以外の人たちに会ってのんびり談笑できる状況ではない」と述べましたが、尹大統領との面会を望む議員たちは長蛇の列をなしました。今月7日にはユン・サンヒョン議員とキム・ミンジョン議員が一般面会し、10日にはキム・ギヒョン議員、イ・チョルギュ議員、チュ・ギョンホ議員、チョン・ジョムシク議員、パク・ソンミン議員ら親尹錫悦派の議員たちが尹大統領を特別面会しました。 この過程で「今回の戒厳を通じて、(野党)共に民主党が思い通りに国政を事実上麻痺させた様々な形態について国民が知ることになったことは幸い」、「過去のナチス執権のように民主党独裁が懸念される」など、尹大統領のメッセージが拘置所外部に伝えられました。面会した議員たちが不法な非常戒厳宣布を正当化する尹大統領の「スピーカー」になったわけです。 強硬支持層の弾劾反対集会に参加し、尹大統領に会いに拘置所を訪れる議員の心の片隅には、不安が潜んでいるようです。強硬支持層の結集で当面は国民の力の支持率が上昇しているかのように見えるが、大統領選挙で勝つためには沈黙している穏健・中道層を引き入れなければならない。しかし、違法戒厳を正当化するメッセージを次々と並べることで、今回の内乱事態に対して沈黙している穏健・中道層にアピールできるのか、ということです。慶尚道地域のある議員が「(尹大統領は)自身の性格通りに言いたいことをすべて言えば、今はすっきりするかもしれないが、後でそれが必ずしも本人の役に立つとは限らない」と語ったのもそのためです。 国民の力の指導部は最近、「早期大統領選挙」を既成事実化するなと一線を引いていますが、党指導部は尹大統領が面会を通じて打ち出す「獄中メッセージ」が選挙に及ぼす影響を考え、敏感に反応しています。党指導部の主要関係者は、「ナチス独裁などの話が、尹大統領に本当に役に立つのか。尹大統領も、国民の力が政権を握ってこそ生き延びることができるのに、あのようなやり方で意地を張って獄中政治を続ければ、自ら身を滅ぼす道を選ぶことになる」と警告しました。 ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ [email protected] )

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