中村鶴松(30)が18日夜に建造物破損の容疑で逮捕されました。そのため、2月の歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」は休演することになり、予定されていた「初代中村舞鶴」の襲名と幹部昇進が見送りとなった一連の出来事には驚きました。 今月3日、鶴松も出演していた浅草歌舞伎を観劇しましたが、鶴松は昼の部に「梶原平三誉石切」の奴菊平、舞踊「相生獅子」の姫、夜の部に「傾城反魂香」の女房おとくで出演していました。10歳で18代目中村勘三郎さんの部屋子になった時から、勘三郎さん、亡くなった後は中村勘九郎、七之助の舞台に出ている鶴松を見ていましたから、翌2月の襲名を控え、勘三郎さんが名付けた「鶴松」として最後となる舞台を懸命に務める姿に感慨深いものがありました。 しかし、今回の不祥事で状況は変わりました。浅草歌舞伎は休演し、共演の同世代の若手が代役を務めるなど、多大な迷惑をかけました。2月の歌舞伎座も休演となり、襲名は見送りとなりました。襲名披露で踊る予定だった「雨乞狐」は勘九郎と七之助が代わって踊ります。「雨乞狐」の前後の演目で2人はそれぞれ主役を演じており、休む間もないハードな日々となりますが、弟のような存在の鶴松の不在をしっかり埋めてくれるでしょう。 謹慎はいつまで続くのか分かりませんが、延期となった襲名と幹部昇進はいつか行われるはずです。勘三郎さんから「生きた芝居をしろ」と教え込まれてきた鶴松が、今回の試練をどう乗り越えていくのか。まだ30歳の若さですから、いくらでも巻き返しは可能でしょう。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)