ヌール・ナンジ文化・王室担当編集委員、アリシア・カリー記者 イギリス王室の元王子、アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー氏と、性被害を訴えたアメリカ人女性ヴァージニア・ジュフリー氏が並んで写った2001年の写真について、本物だとうかがわせるメールが明らかになった。アメリカで性犯罪で有罪とされた富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)について米司法省が公開した捜査資料の一部で、元被告の共犯者が送ったとされるメールに、写真の存在を認める内容が書かれていた。 マウントバッテン=ウィンザー氏はこれまで、ジュフリー氏の肩に腕を回す自分の写真は偽造かもしれないと述べ、ジュフリー氏とは会ったことがないと主張していた。チャールズ英国王の弟で、すでにヨーク公爵の爵位を返上し、王子の称号を剥奪されているマウントバッテン=ウィンザー氏は、一切の不正行為を否定している。 2019年に自分は17歳の時に王子に人身売買されたと訴え出て、2022年に王子と民事和解したジュフリー氏は、昨年4月に自死している。 米司法省が1月末に追加公開したエプスティーン関連文書には、2015年に「G・マックスウェル」からエプスティーン元被告へ送られた「声明案」という表題のメールが含まれていた。「G・マックスウェル」は、元被告の共犯で禁錮20年の有罪判決を受けているギレイン・マックスウェル(Ghislaine Maxwell)受刑者とみられる。 メールの中で「G・マックスウェル」は、「2001年に私はロンドンにいて、[黒塗り]が、私の友人数人と会った。その中にアンドリュー王子も含まれていた。写真が撮影された。彼女は、友人や家族に見せたかったのだと思う」と書いている。 公開された文書では名前が黒塗りにされているが、内容からマックスウェル受刑者がジュフリー氏について言及しているとみられる。 ジュフリー氏の遺族は、このメールによって彼女の主張の「正しさが証明された」とBBC番組「ニューズナイト」に話した。 ジュフリー氏の弟スカイ・ロバーツ氏は、「本当にヴァージニアの正しさを裏付けるものだ。(中略)彼女はずっと、うそをついていなかった」と述べ、「姉のことを本当に誇りに思う瞬間だ」と話した。 米司法省が公開したこのメールには、「G・マックスウェル」が自宅で「不適切なこと」が行われていたとは気づいていなかったとも書かれている。 ジュフリー氏は、エプスティーン元被告とマクスウェル受刑者の犯罪行為を訴えた一人で、マウントバッテン=ウィンザー氏が英王子だった時に、10代だった自分と3回にわたり性行為を行ったと主張していた。 同氏はこの主張を一貫して否定し、2022年にジュフリー氏と裁判外和解に至った。和解には責任の認定や謝罪は含まれていなかった。 BBCは、マウントバッテン=ウィンザー氏にコメントを求めている。 アメリカ連邦下院監視委員会の民主党議員団が昨年11月に公開した、2011年7月のエプスティーン元被告のメールも、元王子がジュフリー氏と写真に写っていたことを裏付ける内容だった。 写真を撮影したとされるエプスティーン氏は、「そうだ、彼女は私の飛行機に乗っていたし、アンドリューと一緒に写真も撮った」と書いていた。 マウントバッテン=ウィンザー氏は2019年11月のBBC番組「ニューズナイト」でのインタビューで、ジュフリー氏と会ったことなどないと主張。写真そのもの、あるいはその一部が偽造された可能性があるという見方を述べていた。 また、「あの写真が偽造されたものかどうか、だれにも証明できない。しかし私は、あの写真が撮られた記憶は全くない」と述べた。 自身に対する世間の評価に大打撃を与えたこの有名なインタビューで、マウントバッテン=ウィンザー氏は、自分は当日、マックスウェル受刑者の自宅にはいなかった、英南部ウォーキングのピザ店にいたのだと主張していた。 番組「ニューズナイト」が4日、ジュフリー氏の義妹アマンダ・ロバーツ氏にインタビューした際、同氏は涙ながらに、「エプスティーン文書」と呼ばれるものの公開が「つむじ風」のような事態につながったと話した。 「巨大な感情でいっぱいになっている。彼女が生きてこの瞬間を見られたらと願う。彼女はあまりに長い間、実に必死に闘っていたので。すごく力強く」 ロバーツ氏はさらに、「私たちは彼女と彼女が達成したことを誇りに思っているが、この瞬間に彼女がいないことが本当に寂しい。彼女は、この瞬間を心から喜ぶべきだった」と述べた。 遺族はこれより前に、「アンドリューが刑事訴追されることを望んでいる」と声明で述べていた。 元王子はエプスティーン元被告との関係をめぐり、追及を受け続けている。 今月2日にはウィンザー城敷地内の自宅を離れ、イングランド東部ノーフォークにある王邸サンドリンガムの敷地内にある住居へ移った。 エプスティーン元被告の被害者の一人、アシュリー・ラブライト氏は、マウントバッテン=ウィンザー氏が、ウィンザー城敷地内の「ロイヤル・ロッジ」を離れたと知った時、自分は「泣いた」のだと話した。 米フロリダ州出身のラブライト氏はBBCのインタビューに対し、イギリスがエプスティーン関係者を追及しようとしていることについて、自分の「正しさが認められた」と感じ、「大喜びしている」と語った。 「自分が何を感じているか、説明できない。このレベルの正義と説明責任の追及だけでも、ただ真相が問いただされるというだけでも、外国の行動によって自分がこれだけ、自分の正しさを認めてもらったと感じるなら。もし自分の国が、私を虐待した加害者に責任をとらせたなら、その時いったい自分がどう感じるのか。想像もつかない」 イギリス王室は昨年10月、マウントバッテン=ウィンザー氏から「王子」の称号を剥奪すると発表したと同時に、「ロイヤル・ロッジ」からの退去を発表していた。 米司法省が1月30日に公開した資料には、着衣であおむけに横たわる女性の隣で着衣のマウントバッテン=ウィンザー氏が両ひざをついたり、腹部に手をあてたりしている写真などが含まれていた。それ以外にも、彼についての記述が繰り返されている。 公開された文書の一つでは、元王子がエプスティーン元被告をバッキンガム宮殿に招いていた可能性が示されている。 エプスティーン元被告は未成年者への性的勧誘で有罪を認めた2008年以降も、数年にわたり元王子と連絡を取り続けていた。 エプスティーン元被告は2019年8月、性的人身売買罪で裁判を待つ間に、ニューヨークの拘置所で死亡した。2005年に14歳の少女の両親がフロリダ州で警察に通報したことを受け、元被告は2008年には、少女に対する性的虐待罪で起訴され、司法取引を通じて有罪判決を受けていた。2019年7月には性的人身売買容疑で逮捕・訴追された。 (英語記事 Email appears to confirm Andrew and Virginia Giuffre photo is real)