催眠商法でサプリ購入持ちかけか 販売会社社長ら3人逮捕 大阪府警

「催眠商法」と呼ばれる手口で高齢者にサプリメントの購入を持ちかけたとして、大阪府警は10日、大阪府箕面市の健康食品販売会社「メリーマート」社長、五条俊明容疑者(76)ら3人を特定商取引法違反(目的隠匿勧誘)と医薬品医療機器法違反(未承認薬の宣伝)の疑いで逮捕した。 催眠商法は閉鎖空間に人を集め、巧みな話術で会場の雰囲気を盛り上げて商品を買わせる手法。参加者は冷静な判断力を奪われ、後に消費者トラブルに発展することもある。メリーマートは大阪を中心に近畿や東北、九州地方で空き店舗などを利用して期間限定の営業所を開設しており、府警は各地で催眠商法を繰り返していたとみて詳しい実態を調べる。 他に逮捕されたのは、営業部マネジャーの丹治芳治(53)と、元営業所責任者の西山啓介(41)の両容疑者。 逮捕容疑は2025年4月、堺市東区のメリーマート初芝店で当時70代の女性3人に対し、販売目的を告げずに営業所に来るよう勧誘。医薬品の承認を受けていないサプリメント「瞬芽ブドウ種子iGS」について、「抗がん剤と同じ効果がある」「飲むと必ず細胞が増える」などと宣伝したとしている。サプリは1箱(60錠)3万4000円で販売され、女性らは約26万円分を購入していた。 府警生活環境課によると、メリーマートは「トイレットロールとボックスティッシュ100円」などと記載したチラシを配り、多くの客を営業所に呼び込んでいた。 営業所では室内の出入り口とカーテンを閉め切った状態で接客。健康を題材にした寸劇やクイズを通じて店長が言葉巧みに会場の雰囲気を盛り上げ、最終的にサプリの購入を持ちかけていたという。 商品を購入した女性らは府警に「みんなが一気に買うので、自分だけが買わないのは損している気分になった」と当時の状況を話している。代金がその場で支払えない客に対し、年金が入金された後のツケ払いにしていたケースも確認された。 メリーマートは1984年に創業され、従業員は約50人。営業所は2カ月ごとに移転を繰り返し、常時10カ所近く開設していた。客からクレームがあった場合はすぐに返金に応じるなど、警察や消費者センターに相談されないための対策を講じていたとみられる。 24年10月、別の高齢女性が大阪市内の金融機関で高額の預金を引き出そうとしているのに職員が気づき、特殊詐欺の可能性を疑って警察に通報した。府警が事情を聴いたところ、メリーマートへの支払いのためだと判明して被害が浮上した。 府警は25年8月に箕面市の本社など十数カ所を家宅捜索。パソコンや商品など約600点を押収し、営業実態の解明を進めていた。 国民生活センターによると、催眠商法は契約当事者全体の半数以上を70~80代の高齢者が占める。相談件数はここ数年、年間1100件前後で推移。購入者の家族から解約や返品に関する問い合わせが寄せられているという。 センターの担当者は「安易に会場に近づかないことが重要だ。勧誘されても大切な老後資金を取り崩してまで購入が必要か考え、不要ならきっぱり断ってほしい」と注意を呼びかけている。【井手千夏】

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