織田裕二と北方謙三が語る、青春ドラマ『水滸伝』。「梁山泊に集まったやつらはみんな馬鹿で、一途で、純粋」

壮大なスケールの連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』が2月15日(日)からスタートする。 原作の北方謙三の大河小説『水滸伝』は、完結から20年を経過した現在も新たな読者を獲得し続けている人気作で、その内容は壮大、登場人物は多く、そこでは熾烈な物語が次々に語られる。こんな大規模な話を映像化できるのか? できたのだ。本作の製作陣は約8カ月をかけ、地球半周以上もの距離を移動し、主演級のキャストを揃えて取り組んだ。 人によっては本作を歴史ドラマという人もいるだろう。しかし、原作者の北方謙三と、本作の主演を務める織田裕二は本作は“青春ドラマ”だと語る。熱い想いを胸に、納得のいかないことに反抗し、理想を追い求めて疾走する物語が幕を開ける。 本作は、中国の四大奇書のひとつ『水滸伝』を原典に、北方が独自の解釈と創作を交えて描いた傑作小説が原作になっている。圧政と腐敗がはびこる社会で、人々は苦しみ、理不尽な出来事に人生を翻弄されていた。平凡な下級役人の宋江(織田裕二)は正義を信じ、自ら“世直し”の書を記す。そこに込められた想いは人々に伝播していき、人々の心を動かす。それぞれがそれぞれの覚悟を抱いて、同じ旗の下に集った。裏社会を生きる者、軍に追われている者、若い者も年齢を重ねた者も、総勢108人。自らのアジトを“梁山泊”と名づけた彼らは、正義を貫くために叛逆を開始する。 織田 小さい頃に『西遊記』は観ていましたけど、『水滸伝』についてはこれまで詳しく知らなかったんです。だから、出演することで勉強になるんじゃないか、と思いながら脚本を手にしました。読んでみたら「え? この役を僕がやるんですか?」という意外な驚きがありました。宋江は実際には戦わないんですよね。僕はこれまでどちらかというと前線で戦う方だったんですけど、宋江は“心の戦い”なんですよ。だからこれまでとは真逆の役だなとは思いつつも、また新しい戦いにチャレンジすることになるんだな、という気持ちでした。 北方 宋江は実際には戦っていないんですけど“存在”と戦っている、という感じがする。何せ、とてつもなく大きな敵だからね。 織田 国ですからね。それをこんなわずかな人数から始めて……本当に倒せるの?って。でも、先生は「キューバ革命も同じだ」っておっしゃってましたよね。 北方 キューバ革命だって十数人で上陸して、ジャングルの中で仲間を集めて、結果的にはアメリカを倒したわけだからね。 織田 その“想い”の強さですよね。だから、宋江は謎も多いんですよね。この人はどうやってこんなにもたくさんのスパイを囲っていたんだろう? 財源はどこにあったんだろう?と。 北方 財源は“志”ですよね。 織田 それは一番高いやつですね(笑) 北方 一番高いけど、金はかからない(笑) 織田 でも、本当に“志の戦い”ですよね。だから、最も敵に回したら厄介なのは宋江だと思うんです。人の心を動かすわけですからね。どんな武術の達人よりも怖い。 北方 “若者に『水滸伝』を読ませるな”って言葉があるんです。若い頃に読むと、反抗心が芽生えて変なことが起こっちゃう。我々が学生の頃は動乱の時代でしたから、そういうものに賭けた世代なんですよね。それこそ怪我したやつもいれば、人生に挫折したやつもいる。 織田 そういうことって僕らの世代ですら知らなくなってきているわけですから、今の若い人はもっと知らないですよね。でも、この話のようなことって明日、起こるかもしれない。歴史って繰り返すものだから。それに今の人は少し“おとなしすぎる”気もするんですよ。綺麗に着飾りすぎているんじゃないか?っていうのは直感として感じています。僕なんかは若い頃は“怒り”が自分の原動力になっていましたから。 北方 私は学生の頃、自分の中に怒りがあったのかも分からないし、あの頃の学生の行動が“怒り”からきたものなのかもよく分からないんです。 昔、ある若い作家に「学生運動をやって日本は変わったんですか?」って聞かれたんだけど、何にも変わってないよ。変わったのは鋪道ぐらい。昔の鋪道は敷石が敷いてあったから、学生が剥がして投げる石にしていたわけ。それが今はアスファルトになったからできなくたったの(笑)。まぁ、言ってみればそれぐらい滑稽なことだったんですよ。 でも、青春っていつも滑稽なものだし、ここに出てくる梁山泊の連中だって、やっぱり青春なんだよ。滑稽で、持て余すものをいっぱい持ってるんだよね。だから、私は『水滸伝』も書きましたし、(続編の)『楊令伝』も書きましたけど、全部“現代もの”です。 僕には昔の人の感覚は分からないよ。だから、あの時代を借りて、動乱が起こってほしいとは思わないけど、「もし、動乱が起こったとしたら、若者はどんな目でそれを観るんだろう?」と。そういう想いはあったよね。

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