顧客らの通帳から金を引き出し横領した罪などに問われているひだか漁協の職員の女。札幌地裁は女に懲役2年執行猶予3年を言い渡しました。 ひだか漁協の職員、春日公美被告。10年前、漁協が管理する金融機関の顧客の口座から合わせて100万円を横領し、顧客の娘名義の定期預金を娘らになりすまして解約しておよそ100万円を受け取った罪などに問われています。 渡辺恵美子さん) 「なんとかしていい形にはもっていって欲しいと思います。南無釈迦牟尼仏南無釈迦牟尼仏」。 被害者の1人、渡辺恵美子さん。2006年に海難事故で亡くなった夫・正さんの遺産が被害に遭いました。 渡辺恵美子さん) 「ほんとに命と引き換えに置いてったお金をねちゃっかりと自分の私腹を肥やしてるかなと思ったらやっぱりいたたまれない気持ちになる」。 渡辺さんが通帳の異変に気づいたのは7年前のことです。 渡辺恵美子さん) 「ちょっとこれ見てください。娘と2019年から2人して一緒に調べて」。 娘の綾乃さんと1年半ほどかけて調べたところ、覚えのない取引がおよそ4000万円分あったといいます。 渡辺恵美子さん) 「ずっとみなさん通帳預けていたねほとんど(の人)」。 渡辺さんが住む地区では、昔から漁業関係者の多くが漁協の金融機関に通帳を預ける慣習があったといいます。 漁協に説明を求めに行くと、渡辺さんも家族ぐるみで付き合いのある春日被告が対応したといいます。その時の音声です。 春日公美被告) 「契約してるの積立保険」、「ほんとごめんほんとごめん。私が悪いんだ」。 当時、金融機関で顧客の通帳を預かり1人で管理していたという春日被告。勝手に通帳のお金を運用していたそうです。 この時の春日被告の説明によると4000万円のうち2000万円を名義人不明の定期預金に、さらに1500万円を無断で作った渡辺さんの息子名義の口座に移したといいます。そのうち300万円を自分名義の積み立て預金に、100万円を渡辺さんの娘と孫の名義でそれぞれ定期預金にしたということです。 春日公美被告) 「わたしが勝手なことをしたの。いろんな人たちを見てきて相続とかも見てきて、あや(渡辺さんの娘)に1番残してやりたいと思ったの」。 綾乃さんのために資産運用していたと言い張る春日被告。他にもおよそ300万円が無くなっていたことについて、横領していたのではないかと問い詰めると。 春日公美被告) 「だってやってないけどほんとにやってないよ」、「信じてって言ったって信じてもらえないのもうってなったら、会社に迷惑かけてみんなに迷惑かけて・・・」。 このやり取りの2週間後、漁協の幹部を交えて行われた話し合いでは。 漁協幹部) 「お互いに預けるほうも預かった方もちょっと異常に感じちゃう」。 漁協側はあくまで個人間のトラブルだと主張。客の通帳を管理していたという服務規程違反で春日被告を1か月の停職処分としました。横領の疑いについては。 漁協幹部) 「調べました。でも出てきませんなにも」。「私どもとしては基本的に訴訟を起こしていただくことでしか対応できない」。 その後、春日被告が無断で作った口座や積立は解約され元に戻されましたが、およそ300万円は戻ってきていません。 逮捕前の春日被告はHTBの取材に対し。 廣瀬美羽記者) 「すみません。HTBの者なんですけど、漁協でお金のトラブルがあったと伺いまして…」。 「弁護士さん通して下さい」。 詐欺などの罪に問われた春日被告。去年の初公判では次のように話しました。 春日被告) 「私はお金を自分のものにするためにしたわけではありません」。 検察側は「組合の職員という立場で通帳や印鑑を悪用したことは信頼を裏切る行為で悪質」などとして懲役2年6カ月を求刑。これに対し弁護側はすべて組合員との同意の上であったと無罪を主張しています。 きょう(13日)の判決で札幌地裁は「職員の立場を悪用し顧客の信頼を裏切る悪質なもので、犯行の動機や経緯に酌量の余地はない」とした一方で、「反省の態度はないものの前科前歴はない」として春日被告に懲役2年執行猶予3年を言い渡しました。 渡辺恵美子さん) 「執行猶予がついたのは残念な気持ちが強いです。ただ私が今まで5年も6年もかけて話をしてきたことが裁判官に認められたことはすごくありがたいです。今までお年寄りたちが何十人って泣き寝入りして貯めたお金があるだけに。生活、金銭面には苦労しないだろうけど自分のした重みを感じてほしい」。 春日被告は現在もひだか漁協に所属していて、漁協側は今後の対応について「コメントを差し控える」としているほか、弁護側は控訴について意向を明らかにしていません。