かつては襲撃事件も…フィギュア界は近頃「なぜ優しい?」米紙が伝えた“陰湿な時代”からの変化

ミラノ・コルティナ五輪は22日(日本時間23日)に閉幕し、17日間の熱戦が幕を閉じた。メダルを懸けた熱戦だけでなく、今大会では国の枠を超えて選手同士がリスペクトしあう光景も話題に。海外メディアはフィギュアスケート競技の文化に脚光を当て、ライバル関係が根強くあった過去との比較から現状に迫った。 フィギュアスケートは、6日の団体戦から始まり、19日(日本時間20日)の女子シングルをもって競技全日程を終了。氷上での熱演に視線が注がれた一方、国の垣根を越えた仲睦まじい光景も度々話題に。女子で金メダルのアリサ・リウ(米国)が、銅メダルの中井亜美と抱き合って喜んだ場面はその象徴と言えた。 米紙「ワシントン・ポスト」は「なぜ近頃のフィギュアスケーターはお互いにこんなに優しいのか?」との見出しで、ロバート・サミュエルズ記者の署名記事を掲載。リンクサイドで泣いている坂本花織をアンバー・グレン(米国)がカメラから守ろうとした場面に言及しながら「ライバル関係が雪解けし始めた」と、その変化へ焦点を当てた。 記事では、選手同士のライバル関係が色濃く残っていた過去のフィギュア界を回想。1994年リレハンメル五輪の代表選考会を兼ねた全米選手権の会場で、ナンシー・ケリガンが何者かに殴打され、ライバルの元夫らが容疑者として逮捕された“ナンシー・ケリガン襲撃事件”を持ち出しながら「何十年もの間、主要な大会前の練習は心理戦の地雷原であった」と指摘した。 一方で「近頃は、練習で耳にする唯一の衝撃音は、拍手の音である」と言及。男子シングルも同様で、トップ争いを牽引してきた鍵山優真、イリア・マリニン(米国)の2人の仲の良さに触れた上で、金メダルのミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)を称える光景を「陰湿な振る舞いを見慣れている4年に一度のファンを驚かせた」とも描写した。 こうした状況を踏まえ「シングルのスケーターにとっては、ライバルという考えはほとんど神話のように感じられる」と考察。「米国では関係者たちは自国の選手たちの間の緊張を緩和しようと努めてきた」という近年の事例を持ち出しながら、かつてのようなライバル関係が薄れつつある現状を伝えた。 今大会で見られた選手同士の温かな交流や敬意に視線を向けながら、記事は「彼女らは自分の行動を、誰かを動揺させたりする機会としてではなく、自分が愛する競技で競い合う誰かをサポートするための機会として見ている」とまとめていた。

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