フランス・パリのルーヴル美術館のローランス・デ・カール館長が24日、辞任した。世界最多の来館者を誇る同美術館では4カ月前、総額8800万ユーロ(約160億円)相当の宝飾品が盗まれる事件が起きた。デ・カール館長は当時、美術館の監視カメラによる警備体制が不十分で、強盗犯の侵入を早期に察知できず、被害を防げなかったと明らかにしていた。 デ・カール館長はこの日、エマニュエル・マクロン仏大統領に辞表を提出した。マクロン大統領は、「セキュリティ強化や近代化といった主要プロジェクトを成功させるために、冷静さと力強い新たな推進力」を同美術館が必要とするタイミングで、デ・カール氏が辞任を決断したことを称賛した。 窃盗犯は昨年10月19日午前9時30分にルーヴル美術館が開館した直後、現場に着いた。 顔を隠した4人の窃盗団が、機械式リフトを備えたトラックを使用し、セーヌ川に近いバルコニーから「ガレリア・ダポロン(アポロンのギャラリー)」へ侵入したとされる。 盗まれたのは9点。そのうちの1点、ナポレオン3世の妻ウジェニー皇后が所有していた王冠は、犯人らが途中で落としたと見られ、現場付近で発見された。王冠は損傷していた。 4人はその後逮捕されたが、残る盗難品8点は見つかっていない。 その中には、ポレオン1世が2番目の妻マリー・ルイーズ皇后に贈ったエメラルドとダイヤのネックレスも含まれる。 今月上旬、ルーヴル美術館は、損傷した王冠の画像を、事件後初めて公開。王冠は「ほぼ無傷」で、完全に修復が可能だと説明した。 同美術館には、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作「モナ・リザ」をはじめとする、貴重な美術品が所蔵されている。 ■監視カメラが「老朽化」 事件から3日後の10月22日、デ・カール氏はフランス国会上院(元老院)の公聴会に出席。ルーヴル美術館の周辺に設置された監視カメラは「老朽化」し、警備体制がぜい弱だったと述べた。 美術館の外壁を映していた唯一のカメラは、盗まれた宝石が展示されていた「ガレリア・ダポロン」に通じる2階のバルコニーとは別の方向を向いていたと、デ・カール氏は説明した。 ルーヴル美術館には昨年だけで約870万人が訪れている。それにもかかわらず、警備への投資が遅れるなど、予算面の課題に直面している実態があるとした。 監視カメラの数を倍にしたいと、デ・カール氏は当時述べていた。 デ・カール氏は2021年に館長に就任した。その際、以前勤務していたオルセー美術館の近代的な設備とは対照的に、ルーヴルの設備は「時代遅れ」なので注意するよう言われたという。 仏議会は現在、ルーヴル美術館の警備上の失態について調査を進めている。 最終報告は5月に公表される予定。先週公表された予備報告では、窃盗犯の侵入を可能にした「組織的な欠陥」が指摘されている。 ルーヴル美術館をめぐっては窃盗事件後、チケット詐欺事件や、老朽化による水漏れも起きている。 複数報道によると、パリ検察は今月10日、ルーヴル美術館で10年にわたり行われていたとされるチケット詐欺の捜査の一環として、9人を拘束した。同じチケットを使いまわして団体客を入館させていたとみられる。 (英語記事 Louvre museum director resigns months after high-profile heist)