『パンチドランク・ウーマン』ハマれない圧倒的な原因は…「ジェシーは悪人?」で引っ張るの、もう何度め? さすがに飽き飽き

ジェシーが白か黒かどうかだけで、いったいどこまで引っ張るつもりなのか……。 篠原涼子が主演し、SixTONESのジェシーが共演する『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』(日本テレビ系)。 2月22日(日)に中盤回となる第5話が放送されたが、繰り返しの展開にうんざりするエピソードだった。 ■焦点が “怜治は善人か悪人か?” しかない 主人公は強い正義感と責任感を持つクールな拘置所の刑務官・冬木こずえ(篠原)。彼女のいる拘置所に父親殺しの罪で起訴され、未決拘禁者として入ってきたのが、鋭い眼光で周囲を威嚇するアウトロー、日下怜治(ジェシー)だ。 実は、怜治の父親はこずえの大学時代の恋人で、怜治は父親を殺したのは自分ではないと訴え、こずえが脱獄の手助けをするというストーリー。 筆者がこのドラマに全然ハマれないのは、物語の構造的問題にある。 怜治は塀の外でやらなければいけないことがあるようで、ほかにも脱獄をくわだてるカルト教団の教祖と信者たちもおり、多くの登場人物の思惑が絡みあいながら、回を追うごとに「脱獄まで○日」のカウントダウンが着々と進んでいる。 このように劇中の時間はどんどん経過し、状況も変化しているので、続きが気になってグイグイ引き込まれていってもよさそうなものだが、その “吸引力” がとても弱い。 どうしてハマれないのかという理由を考えていくと、1つの大きな原因が見えてくる。それは、このドラマは突き詰めていくと、焦点が “怜治は善人なのか? 悪人なのか?” という1点しかないからだと気づいた。 ■視聴者を引きつける要素が、ほかにないのかと辟易 怜治は一見するとワルなのだが、ピンチに陥るこずえを助けるヒーロー然とした行動を起こしたり、妹をかばって逮捕されたのではないかという説が浮上したり、善人の可能性がたびたび示唆されている。 しかし、その一方で、怜治を信じようとするこずえを罠にハメたり、カルト教団と結託するなど芯から冷酷に見える描写があったりと、やっぱり悪人なのだという可能性も演出されている。 たとえば第4話のラストでは、半グレ収容者たちに暴行を受けていたこずえを怜治が救出し、「大丈夫か? 泣いてんのか?」と心配してバッグハグするという、善人ムーブで次週に引っ張っていた。 ところが、第5話のラストでは、懲罰室で密談し、こずえが「これから私も力になります」と申し出るも、怜治は彼女の腹を殴って気絶させるという、悪人ムーブで次週に引っ張っている。 このとき怜治は「悪いな、裏切って」と言い放つ。こずえは意識が遠のくなかで「どうして?」と尋ねると、怜治は「理由なんてどうでもいいだろ。ここに収容されたときから逃げるつもりだった」と吐き捨てるのだ。ここでこずえが、最初から脱獄するために利用されていたと気づくという展開だ。 こんなふうに次週につなぐための “引き” の要素が、だいたいいつも “怜治は善人なのか? 悪人なのか?” ということが焦点にされているため、もううんざりなのだ。 コロコロ変わる怜治の白黒の反転はいったい何度めなのか。何回も同じ揺さぶりを食らってはさすがに飽き飽きで、コレ以外に視聴者を引きつける要素がないのかと辟易としてしまう。 さらに言うと、どんなに怜治が悪人ムーブをかましても、聴者の大半がどうせ善人に決まっていると勘づいている。だから、第5話のように悪人風の演出で終わっても、続きがたいして気にならないのである。 ■日曜劇場『リブート』は “引き” が複数ある ほかのドラマと比較するのも申し訳ないが、今クールで考察ブームを巻き起こしている鈴木亮平主演の日曜劇場『リブート』(TBS系)でも、戸田恵梨香演じるヒロインが “善人なのか? 悪人なのか?” という演出が何度もされている。 けれど、『リブート』は脚本が巧みなため、本当にヒロインは悪人なのではないかという疑いが晴れず、その揺さぶりに引き込まれてしまう。 また、そもそも『リブート』の場合は気になる焦点が複数あるのだ。戸田のキャラの白黒だけでなく、主人公の妻は本当に死んでいるのか、一人二役で鈴木が演じる悪徳刑事の真の目的はなんなのか、ほかにも顔を変えている人物がいるのではないかなど、“引き” を作る要素がいくつもあるのである。 話を『パンチドランク・ウーマン』に戻すが、そう考えると “怜治は善人なのか? 悪人なのか?” だけで引っ張り続けるのは、さすがに限界があるように思えてならない。複数あるうちの焦点の1つならばよかったのかもしれないが、このドラマには焦点がほぼコレしかないのが問題なのだ。 そのため、『パンチドランク・ウーマン』の場合、途中回を見逃したとしても話についていけてしまうだろう。『リブート』は1回でも見逃すと話についていけなくなるが、『パンチドランク・ウーマン』は第1話のあとにいきなり第5話を観たとしても、おもな焦点は怜治の白黒だけなので、すぐに劇中の状況が理解できて普通に観られるに違いない。 とはいえ、今夜放送の第6話には期待できそう。第5話ラストのカウントダウンはとうとう「脱獄まで0日」となり、第6話は怜治とカルト教団が脱獄計画を決行するエピソードになるからだ。 第6話から想定外の新展開となり、物語が “怜治は善人なのか? 悪人なのか?” のループから抜け出してくれるなら、おもしろくなってくるかもしれない。 ●堺屋大地 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『コクハク』(日刊現代)、『日刊SPA!』『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿

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