埼玉県飯能市で一家3人がクリスマスに殺害された事件、死刑を求刑されていた男に判決が言い渡されました。 ■家族3人を殺害 男に無期懲役 裁判長 「被告の自宅から黒と銀のおの、バールが発見された。銀のおのに血痕があり、被害者のものと完全一致するDNA型が検出された」 一家3人を殺害した罪に問われ、死刑が求刑された男にさいたま地裁が言い渡した判決は無期懲役でした。 裁判長 「第三者から被害を受けているものと認識している。被害者たちに対する強い殺意に支配された精神状態」 裁判では、被告の精神状態も争点となりました。 事件が起きたのは2022年12月25日、クリスマスの朝でした。アメリカ人のウィリアム・ビショップさんと、その妻・森田泉さん、そして当時帰省中だった娘の森田ソフィアナ恵さんが埼玉県飯能市の自宅で殺害されました。 近隣住民 「男がこっちに向かって来た。『お前か』と言ったら元へ戻っていった」 その日のうちに逮捕されたのがビショップさんと以前からトラブルがあった近所に住む斎藤淳被告(43)。事件の1年ほど前に、ビショップさんの車を傷付けたとして器物損壊容疑で3度逮捕され、いずれも不起訴になっています。 ビショップさんの次女 「『警察官に生きていますか?』と聞いたら何も答えなかった。ダディの写真を見せられた。顔が腫れて、私の知っているダディではなかった」 残された次女の悲痛な声。 検察側によると、事件当日、斎藤被告は灯油が入ったポリタンクや銀のおのと黒のおの2本を台車に積んで一家の家を訪れたといいます。 最初に斎藤被告に遭遇したのは妻の泉さん。妻の悲鳴に、庭に出てきたビショップさんをめがけ、斎藤被告は何度もおのでたたきつけ、次に玄関先で逃げ出そうとした娘を追い掛け殺害、最後に妻の泉さんをおので殺害したということです。 裁判の中では防犯カメラの映像も公開されました。 動かなくなったビショップさんが何度もおので殴られる様子。 泉さん 「誰か警察呼んで。誰か助けて」 恵さん 「やめて」 おので殴られる音が響いた後、娘の悲鳴が聞こえなくなり、今度は犯人が別のおのに持ち替え、妻を追い掛ける様子が映っていました。 そして、騒動に気が付いた住民が駆け付け…。 近隣住民 「人殺し、人殺し、もうダメだ、人殺し」 斎藤被告はその後、ビショップさんの家の1階、2階に灯油をまいて火を付けたと指摘されています。 家の中で採取された血液のDNA型は、3人の被害者と斎藤被告のもので一致したということです。 残された次女は…。 ビショップさんの次女 「家族を奪われ、家も放火され、思い出も大切なものもなくなった。クリスマスを迎えると心が苦しくなる」 ■“おので何度も”責任能力は? 争点となったのは、斎藤被告が統合失調性障害を患っていたことによる責任能力の有無です。弁護側は「斎藤さんは犯人ではなく、犯人であっても心神喪失で罪に問うことはできない」としています。 一方、検察側は犯行後、逮捕を逃れようとしたことなどから、犯行の違法性を理解し、責任能力に問題はなかったとして死刑を求刑しています。 犯行当日の様子について近所の人は…。 「表情も全然息が上がらず、興奮とかそういう様子も全くなかった」 斎藤被告の父親 「口数は少ないが優しい子でした。どうしてなんだ?と聞くより、バカヤローが出てきてしまうかもしれない」 斎藤被告は高校卒業後、大阪の芸術系の大学に通い映画制作に関わる仕事をしたこともありましたが、現在は無職。事件まで、母親から月11万円の生活費をもらう生活を送っていたといいます。 事件から3年以上経って迎えた判決。 裁判長 「計画的で違法性の認識があった。思いとどまることは支障があってもできたはず。心神耗弱で減刑されたが刑事責任は重く、無期懲役が相当」 裁判長は押収した斎藤被告のノートに記載されていた内容について言及。そこには欧米への批判的な言葉がありました。 裁判長 「被告は自宅のささいな損傷や体の異変がアメリカも含む外部からの攻撃であると認識していた。ノートの右上に『ビショップ』と記載があったことからアメリカの一員であると認識していたことがうかがえる。妄想により怒りを募らせたことは否定できない」 さいたま地裁は当時、斎藤被告は心神耗弱状態であったと認定し、被告がこれらの犯人であるかどうか争いがあった、統合失調症により犯行に影響があったかも争いがあるとして、斎藤被告に無期懲役の判決を言い渡しました。