『ラムネモンキー』(フジテレビ系)が3月25日に最終回を迎える。51歳になった中年男性3人が、1988年――自分たちが中学生だった頃、突然失踪した女教師の謎を追って奔走する物語。彼らは断片的な記憶を蘇らせながら、自分たちの人生に向き合うことになる。 中学時代、野球部だったが挫折して映画研究部に入ったユンこと吉井雄太(反町隆史)は、商社の部長として順調に出世の道を歩んできたが、贈賄に加担していたとされ逮捕された。妻の絵美(野波麻帆)には離婚を突きつけられている。 中学時代、映画やアニメに詳しくて映画研究部の部長をしていたチェンこと藤巻肇(大森南朋)は、映画監督になる夢を果たすが、最近はヒット作に恵まれず、最新作からも強制的に降板させられてしまう。かつての恋人さつき(中越典子)に紹介された作品も暗礁に乗り上げている。 中学時代、チェンとともにオタクだったキンポーこと菊原紀介(津田健次郎)は、漫画家になる夢を諦め、女手一つで自分を育ててくれた母親・祥子(高橋惠子)の跡を継いで理容室を営む。祥子の認知症が進み、ヘルパーとともに苦労しながら介護を続けている。 1970年代半ば生まれの3人は「失われた30年」をそれぞれ歩んできた。彼らは「就職氷河期世代」であり、「ロスジェネ」とも呼ばれている世代だ。だが、人の生き方は一様ではない。縁故採用で大手企業に入ったユンは成功者のように見えるが、いつの間にかすべてを失おうとしていた。映画監督という夢をかなえたチェンだが、こだわりが強すぎて仕事を失っている。今はバイトをしながら小さなアパート暮らし。お人好しのキンポーは、母の介護に追われていて、恋人がいた形跡すらない。それぞれが「中年の危機」を迎えていた。 彼らを引き合わせたのが、空想じみた記憶の向こう側にいた中学時代の女性教師・マチルダこと宮下未散(木竜麻生)である。彼らの映画作りを応援してくれる理解者だったが、ある日、UFOとともに忽然と姿を消す。 ずっと年下の学生・西野白馬(福本莉子)とともに断片的な記憶を調べ直し、マチルダの足跡を追いかけることにした3人は、自分たちの妄想じみた記憶と向き合っていく。 ユンは野球部時代に想いを寄せていたミンメイこと大葉灯里(西田尚美)に再会し、中学生の頃のまっすぐさを取り戻す。チェンは自分を目の敵にしていたジェイソンこと暴力教師の江藤(石倉三郎)と再会して、彼の老いを目の当たりにする。自分をいじめ抜いていた不良の佃(東根作寿英)と再会したキンポーは、更生した佃が謝罪しても許さなかった。 妄想じみた記憶は、すべて中学生らしい妄想だった。それはつらかった現実を乗り越えるための空想だったとも言える。なにより彼らの中心にあったのは、空想を形にする映画づくりだったのだから。それを後押ししてくれたのがマチルダだった。 ユンたちはマチルダの失踪の真相が、故郷の町の再開発と地上げの問題に関係していることを突き止める。そこには自分たちの親たちも密接に関わっていた。映画づくりに使ったビデオだって、進学した学費だって、汚れたカネが元だったのだ。地主の老人・黒江(前田美波里)は不審火によって死んだ。そして地上げと大物政治家・加賀見(高田純次)の関係を示す証拠のビデオを掴んだマチルダが姿を消す。 「清濁併せ呑む」という言葉がある。善悪や清濁を分け隔てなく受け入れる度量の大きさを讃える言葉だ。そのような態度は、この国の中でずっといいものとされてきた。ユンは第1話でこう語っている。 「いいかどうかわからないけど、清濁併せ呑んでいた。世の中は白か黒じゃない。グレー。だからこそ経済も発展した」