追う迫る~若手記者2024(1) 酒田市中心部 連続放火事件

2024年は県内各地で大規模な災害、事件、事故が相次いだ。若手記者はいち早く現場に駆け付け、動きを追い、原因や真相に迫ろうと奮闘した。年の瀬が近づく中、記者たちが現場で何を考え、どう取材したかを振り返る。 ◇ 「今日も晴れか…」。朝、カーテンを開けるのが憂鬱(ゆううつ)だった。今年4月末から5月、酒田市内中心部で空き家などを焼く、連続放火事件が発生した。憂鬱だったのは、雨が降っていない日に起きていたからだ。容疑者が逮捕されるまでの1カ月ほどは、緊張した状態が続き、一日がとても長く感じられた。 1件目の不審火は4月28日、市内中心部の飲食店の倉庫で発生した。2件目は5月1日、1件目の現場から数百メートルの解体中のアパートから出火した。いずれも火の気はない場所。「ただの火災ではない。放火かもしれない」。そんな予感がした。 その後、10日以内に4件の不審火が相次いだ。現場は昔から住宅や飲食店が軒を連ねる港町・酒田の中心部。直径約700メートルの範囲内に集中していた。1件ずつ丁寧かつ、丹念に取材した。「誰かが火を付けている」と、確信めいたものがあった。住民の不安な顔を見ると、胸が締め付けられる思いがした。「犯人はいったい、どこにいるんだ」。取材に一層力が入った。

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