マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のバイオレンスアクション「デアデビル:ボーン・アゲイン」シーズン2の最終回となる第8話「サザンクロス」が、5月6日に配信された。前回、カレン・ペイジ(デボラ・アン・ウォール)の裁判が行われ、被告側の共同弁護人としてデアデビル/マット・マードック(チャーリー・コックス)が登場。その後、駐車場で襲撃を受けるなど、物語が大きく動いたが、今回は、キングピン/ウィルソン・フィスク(ヴィンセント・ドノフリオ)市長が証人として裁判所に召喚され、怒涛(どとう)のクライマックスを迎えた。(以下、ネタバレを含みます) ■マット、ヘザーに追及されるカレンを援護 冒頭、マットとカレンがニューヨークの街を楽しそうに歩いて、笑顔で食事をする場面が映し出される。もちろん現実ではない。すぐに場面は現実に戻り、裁判の場面に。カレンは顔にも傷を負っており、冒頭のシーンとは対照的な姿が見られた。 共同弁護人であるマットは裁判が始まってもまだ姿を現さない。特別部隊AVTF(アンチ・ヴィジランテ・タスク・フォース)に撃たれたマットの足を、ジェシカ・ジョーンズ(クリステン・リッター)が治療し、ジェシカはこの争いに参加することを約束した。 マットが遅れて裁判所に到着すると、ヘザー・グレン(マルガリータ・レヴィエヴァ)がカレンを貶めるかのように責め立てていた。入ってすぐにそれを察知したマットはカレンを援護する。ヘザーが自著の中の「マスクは表の顔を隠す手段ではなく、本当の顔を明かしている。表の顔こそが自警団のマスク」という文章を読み上げると、マットは「ペイジさんには“表の顔”はありませんが、それでも自警団と言えますか?」と質問。 それに対してヘザーが「はい。彼女はデアデビルに守られていた」と“自警団”という後ろ盾があると伝えると、すかさずマットは「あなたが市長を後ろ盾にするように」とやり込め、溜飲が下がる場面となった。 ■フィスクが白スーツ姿で法廷に登場 その後、弁護側の証人として、ついにフィスク市長が登場。第7話では黒のスーツを着ていたが、ここでは再び白のスーツ姿で現れた。テレビ中継が入っている裁判で、“市長”としての支持率を回復するためにクリーンなイメージを植え付けるべく「白」を着てきたのだろう。ただ、フィスクに続いて、傍聴席にAVTFの隊員が集団で入ってきた。これは市長としての権威を見せつけるための演出か。裁判所の中が一気に物々しい雰囲気に。 念には念を入れ、フィスクは同時にもう一つの計画を立てていた。“偽物のブルズアイ”に銃で襲撃させ、自警団の卑劣さを示そうという魂胆だったが、裁判所の入り口が見えるビルでAVTFの隊員たちと共に準備をしていた偽物のところに本物のブルズアイ/ベンジャミン・ポインデクスター(ウィルソン・ベセル)が現れ、あっという間に偽物を含めて制圧した。 裁判所の中に場面が戻ると、マットとフィスクのやりとりが続いている。マットは、ノーザンスター号が違法な武器を密輸していたことも明かし、一等航海士クリストフィ・サヴァの証言動画を証拠として提出。聴覚の鋭いマットに向けて、フィスクは「私の証言一つでお前を葬れる」と脅すが、マットは屈しない。ある決意をしていたからだ。 証言動画が流された。そこには、「誰かが乗り込んできたら船を破壊しろと命じられていた」という証言があり、違法な武器を積んでいたこと、船を沈めたのは船長だったこと、命令したのは“キングピン”ことフィスク市長だということも明かしている。 クリストフィが今、裁判所にいない人物であることを理由に、証言が無効だと検察側は主張するが、マットはフィスクに「あの船にデアデビルがいたんですね?」と聞き、「そうだ」という返答を聞いた上で、「なら、彼に聞けばいい」と伝える。マットが自ら正体を明かすなんてことはしないと確信している様子のフィスク。“ヒーロー”とは、という話でしばらくやりとりが続くが、そこに、ジェシカに守られるようにして州知事のマージ・マキャフリー(リリ・テイラー)が入ってきた。 ■マットが自ら正体を明かし、フィスクを追い詰める マットは「この裁判を開いた市長は自分を刑務所に入れた自警団を恨んでいる」と言い放ち、船を沈めたことを問い詰める。そして、「本物の犯罪者が誰なのか、デアデビルは知っている」と伝えるマットに、フィスクは「君は愚かだ」と言葉を投げつけるが、「違う、愚かじゃない」と返し、「私がデアデビルだ」と正体を明かした。映画「アイアンマン」で、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)が「私がアイアンマンだ」と明かしたときと同等のクライマックスシーンと言える。 マットがデアデビルであるということは、フィスクにとっても“切り札”だった。しかし、この状況でマット自身がその切り札を使うことで、形勢が決した。船に違法な武器を積んでいたことは、マットだけでなく、ジェシカも証言できる。全てを洗いざらい暴き、衆目にさらし、カレンの件は法廷で裁くことが不可能と判断され、無事釈放されることとなった。 ここで一件落着、とはならない。しつこいというか、往生際が悪いというか、念には念をということで、裁判所を出ようとしたところで用意しておいた偽物のブルズアイに狙撃命令をするが、本物と入れ替わっていて、撃たれたのはマットではなく、フィスクの側近のバック・キャッシュマン(アーティ・フルーシャン)だった。急きょ、フィスクは裁判所内に引き返し、籠城。あくまでも“被害者”としての立場で市民に向けて放送で訴える。しかし、BB・ユーリック(ジェネヤ・ウォルトン)がフィスクの本性をあらわにし、そのもくろみも不発に終わった。 BBの放送を受け、裁判所の前には怒れる市民たちが集結。マットもデアデビルのスーツを装着し、裁判所内に向かう。暴徒化した市民たちも裁判所に乱入するが、フィスクは力ずくで黙らせようとする。白のスーツが血で染まる姿はもう“市長”ではなく“キングピン”そのもの。大暴れするが、大勢集まったマスク姿の市民たちに圧倒され、やがてなすすべもなくなり、袋叩きにされてしまう。 ■それぞれのクライマックスシーンへ それをマットが止めるように呼び掛け、フィスクにも「もう終わりだ」と伝え、「条件を飲め」と提案。「刑務所で孤独に死ぬか、また同じことを繰り返すか? お互い、ニューヨークを愛するものとして平和を取り戻そう。損得は関係ない。それが善意だ」と説得する。「嫌だ。断る」と抵抗するものの、「いいだろう」と最終的にはその条件を飲んだフィスク。これは“一線を超えない”、“人を殺めない”という信念を持つデアデビルだからこそ成し得た解決策だ。 ラストは、それぞれの“その後”が映し出された。マットとカレンは、冒頭の映像のように食事をしながら楽しげに語らい合っている。ただ違うのは、マットがそこで逮捕されてしまうということ。ジェシカと娘のもとには、ルーク・ケイジ(マイク・コルター)が帰ってきた。娘はルークを「パパ!」と呼び、ルークも「会いたかったよ」と返す。ルークは“海外の仕事”が終わって2人に会うことができたようだが、飛行機にCIAのチャールズ(マシュー・リラード)とブルズアイが並んで乗っているシーンを見て、ブルズアイがルークの代わりになったのだと分かる。 BBは新聞社のニューヨーク・ブレティン紙に就職したようだ。さらに、ヘザーがミューズのマスクを被ったり、マットが独房に入れられたり、フィスクがどこか海外のビーチで海を見ながら佇んでいたり。これらが全て、既に制作が決まったと言われるシーズン3への布石となっているのだろう。 SNSでも「最終話、またしても神回」「最高な最終回だった」「フィスクはまた戻ってくるんだろうなぁ」「文句なしに大満足」「ロスがすごい」と評価が高く、続編への高い期待も伝わってくる。 「デアデビル:ボーン・アゲイン」シーズン2は、ディズニープラスで全話独占配信中。 ◆文=田中隆信