【台北=西見由章】台湾与党、民主進歩党は13日、中国による認知戦の研究者で立法委員(国会議員に相当)の沈伯洋氏(43)を11月に行われる台北市長選の公認候補として擁立することを決めた。台湾の初代総統、蔣介石のひ孫で再選を目指す最大野党、中国国民党の蔣万安市長との一騎打ちとなりそうだ。中国当局は、「台湾独立」をもくろんだ「国家分裂犯罪」の容疑で沈氏を指名手配している。 沈氏は記者会見で「(国民党の地盤が強い)台北市において民進党はずっと挑戦者。市民の声に耳を傾け未来像を提案する」と述べた。党主席の頼清徳総統は「一流の人材で都市計画にも造詣が深い」と強調。現在の台北市政について「最良の資源を持ちながら(台湾の都市の)リーダーとしての役割を果たせていない」と批判した。 沈氏は米カリフォルニア大アーバイン校で犯罪学・法、社会学博士号を取得。中国の認知戦を研究する一方、台湾防衛のために市民に軍事知識を教える講座「黒熊学院」の開設にも関わった。2024年2月から民進党の立法委員を務めている。 中国当局は24年10月、「台湾独立派の頑迷分子」制裁リストに沈氏を追加した。25年10月には重慶市公安局が沈氏を「国家分裂犯罪」で立件すると発表。中国メディアは国際刑事警察機構(ICPO)を通じた国際手配により「世界中で逮捕できる」と主張した。