野球場の「女神」も狼の写真も偽物…韓国社会にAI偽動画の警告

【05月24日 KOREA WAVE】韓国社会が生成AI(人工知能)の大衆化により、仮想と現実の境界が崩れる「現実感の欠如」現象を経験しているとの警告が出た。 香港の有力英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は17日、韓国のオンラインコミュニティーで最近話題を集めたいわゆる「野球場の女神」動画を代表的な事例に挙げた。 球場の観覧席に座る女性の無表情な姿を収めた5秒間の動画は、これまでに1500万回を超える再生回数を記録し、大きな話題を呼んだ。 しかし、映像内の電光掲示板に、引退した選手と現役選手の対決を示すグラフィックが映っていたことから、ネットユーザーが不自然な点に気付いた。結局、映像の女性は実在の人物ではなく、AIで作られた偽物だったことが分かった。 問題は、こうした生成AI技術が単なる娯楽を超え、公共の安全を脅かし、政治・社会的混乱を引き起こす水準まで急速に広がっている点だ。 4月に大田オーワールドで狼「ヌック」が脱走した際には、40代の会社員がAIで加工した、学校前の交差点を通るヌックの写真を拡散した。 この偽写真は大田市の災害管理当局まで欺き、実際の住民避難命令やテレビブリーフィングに使われた。一方、写真を作った人物は公務執行妨害の疑いで警察に逮捕された。 AI安全研究所のキム・ミョンジュ所長はSCMPのインタビューで「AIへの過度な没入は現実逃避を助長し、生活満足度を低下させる悪循環を作りかねない」と警告した。 実際に、韓国のAI誤用・悪用問題は危険水位に達している。デジタル編集プラットフォーム「Kapwing」の2025年報告書によると、韓国はクリック数を誘導するために作られた低品質のAI加工コンテンツ「AIスロップ」を、世界で最も多く消費する国とされた。 特に技術の副作用は、犯罪や雇用市場の不安などにもつながっている。2024年のテレグラムディープフェイク性犯罪が代表的な例だ。当時、多くの女子学生や未成年者が、同級生が作ったAI違法合成物の被害者となった。政治圏でも選挙を控え、偽ニュース番組や相手候補をあざけるAIのK-POP楽曲が拡散している。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News

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