「北に加担」石破首相の日朝連絡事務所案に家族反対の理由 誰が常駐?家賃は?机上の空論

石破茂首相が北朝鮮拉致問題進展の政策として従前から主張し続けている、日朝間の「連絡事務所」の設置。北朝鮮との信頼関係構築を重視する首相のスタンスを表したものだが、被害者家族らは「不要」を明言している。実際の職員の人選や安全確保、事務所維持費など細部への言及も一切なく、早くも机上の空論と化しつつある。 ■言いっぱなし状態 石破首相は今回の自民党総裁選(9月27日投開票)の政策集にも、「北朝鮮による拉致被害者の帰国を実現するため、東京・ピョンヤン相互の連絡事務所開設など、交渉の足掛かりを作ります」と明記。6年ほど前から事務所開設の必要性を訴え続けている。設置案は、2002年の日朝首脳会談の素地を整えたことで知られる外務省元幹部が提唱しており、それをそのまま受け入れたとみられる。 だが、現状は「言いっぱなし」の状態だ。例えば平壌側の事務所に、日本からどのような人材を置くのか。 日本は北朝鮮を国家承認しておらず、外交もない。そうした中で平壌事務所が置かれた場合、大使館などの扱いとはならず、勤務する日本人スタッフも、外交関係に関するウィーン条約上の不逮捕特権の対象外となって身辺の安全が確保されない。双方の事務所設置費用や家賃などもまったく不確定だ。 日朝間で何らか個別の取り決めなどが講じられる可能性はあるが、関係者は「北朝鮮がルールを順守するとは考えにくい」と指摘。「仮に日本から警察官が出向いたとしても、リスクは高い」とみる。 ■「死亡」くつがえす調査、不可能 現地では、横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=ら、北朝鮮が「死亡」や「未入境」などと主張している被害者の所在確認のため、日本側が北朝鮮各地をくまなく回る必要もある。 関係者はこの点に関しても、「そもそも、イギリスやドイツなど北朝鮮に大使館を置く国の外交官ですら、厳しい行動制限がかけられる。北が死んだことにしたいと考えている人たちの捜索を日本側が丹念に行うことなど、不可能だ」との見方だ。 拉致被害者家族からも明確に反対の声が相次ぐ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加