水道管の老朽化が深刻化している。 メディア各社の報道によれば、日本国内の法定耐用年数(40年)を超えた水道管は17万に及ぶという。地球およそ4周分の距離であり、地震が頻発する日本では破裂リスクが高い。水道管の更新は急務なのだが、水道工事の入札を巡って全国で談合事件の摘発が相次いでいる。全国紙社会部記者が解説する。 「昨年、福島県いわき市の水道局の入札で予定価格の積算に誤りがあったにもかかわらず、ピタリと同じ価格で落札した業者がいました。設計金額を漏らしたいわき市水道局工務課技術主任の職員が官製談合防止法違反で逮捕され、漏洩した情報をもとに落札した地元企業の社長と取締役の2人もお縄になりました。今年5月にも、広島県尾道市が発注する水道工事の予定価格を業者に漏らしたとして市水道事業トップの上下水道事業管理者の男が懲戒免職処分になっています」 水道局に関する不祥事が次々と明るみに出るなか、筆者にある情報がもたらされた。大阪市水道局が発注する工事で工期の延期が頻発している、というのだ。大阪市水道局の元職員が打ち明ける。 「大阪市水道局が発注する工事で工期が守られていないケースが相次いでいます。半年や1年の延長は当たり前。工期を守れなかった業者には罰金や入札の指名停止といった罰則が科されるはずですが、なぜか何のお咎めもなし。工期を守れていない業者が何度も工事を受注するという異常事態になっています。大阪市水道局からは“工期内竣工”という言葉がなくなってしまった。全体の6〜7割の工事で工期が延長されているといいます」 水道局では本来、自然災害以外の要因による工期の延長を認めていないという。「地球環境問題会議」議長の堂村慎太郎氏が憤る。 「大阪市水道局に資料の公開請求をしても、なかなか開示に応じようとしない。そこで大阪府警に開示請求をかけて工期延期について記載された内部資料を入手しました」 同氏が入手した資料とは、大阪市天王寺区内の配水管布設工事(工期は令和4年7月4日〜令和5年9月30日)の「設計変更理由書」(工期)だ。そこには、落札業者が工期を延期する「理由」が記載されていた。 《道路使用許可取得において警察との協議に時間を要し、許可取得が遅れた。(4ヵ月)》 《地元町会への工事説明に時間を要し工事着手が遅れた。(1ヵ月)》 《管布設工を進めていたところ、地元より苦情が入り工事を一時中断した。この地元と交渉した結果、工事再開に至ったが、この交渉に時間を要し工事進捗が遅れた。(3ヵ月)》 ところが、同氏がこれらの事実関係を確認したところ、「すべてが虚偽だと判明した」というのだ。 「天王寺警察署交通課に出向いて、《警察との協議に時間を要した》のか交通課の係長にも確認を取ると、そんな事実はなかった。地元の町会長にもお会いして、《地元より苦情》が入ったのか確かめたが、こちらも虚偽でした。その証拠を持参して水道局の職員を問いただすと、黙って貝になるだけ。回答すら拒否したのです」(前出・堂村氏) この配水管工事は当初の予定から244日間も工期が延びている。大阪市水道局の工事に携わっている業者はこの正当な理由のない工期延期を断罪する。 「本来なら、水道局と契約書を交わす段階で業者は所轄の警察署に道路使用許可の申請をします。許可取得まで1ヵ月程度かかりますから。地元住民から苦情が出ることも稀にありますが、私の経験では数日でほとんどカタがつく。数ヵ月間も住民に反対されるなんて聞いたことがありません」