社説:高校生の凶行 匿流の「捨て駒」にさせぬよう

若者たちが残忍な犯罪に手を染め、「捨て駒」にされるような事態は防がねばならない。 栃木県上三川町(かみのかわまち)の民家に強盗が入り、家族3人が死傷した事件で、警察はこれまでに男女6人を強盗殺人容疑で逮捕した。 衝撃的なのは、実行役とされる4人が、いずれも16歳の高校生だったことだ。同学年で、2人は同じ学校に通っていた。 匿名・流動型犯罪グループ(匿流(とくりゅう))の犯行とみられる。 秘匿性の高い通信アプリを用いるなどして、犯行を主導したとみられる男の逮捕状も取った。 現場の指示役とされる夫婦と面識がある少年が、他の3人を勧誘したとみられる。 事件当日、初めて全員で顔を合わせ、夫婦がリアルタイムの通話で犯行を指示していたとされる。 「普通のバイトだと思っていた」と話し、後悔や反省を口にする少年もいるという。 一部は夫婦から「やらなければ家族や友人を殺す」と脅されていた。 合法的な仕事をかたって誘い込み、危害を及ぼすと威嚇して逃げられないようにするのは、匿流の典型的な手口である。 一方で、少年側が目出し帽を事前に用意し、「数百万円の報酬の約束があった」との供述も出ている。一部は犯罪への加担を知っていた可能性がある。 現場の凄惨(せいさん)さには言葉を失う。殺害された女性は致命傷以外にも数十カ所の刺し傷や打撲があった。飼い犬も殺されていた。 少年たちは、ことの重大性をどれほど自覚していたのか。 強盗殺人の法定刑は、死刑または無期拘禁。未成年であっても重い刑は免れない。 憂慮するのは、他にも少年が関わる強盗事件が相次いでいることだ。 奈良市の家に押し入り家人にけがを負わせた疑いで、京都府の高校生ら3人が先日逮捕された。4月にあった東京都の未遂事件でも、捕まった7人のうち5人は少年だった。 匿流が関与しているとみられ、首謀者の捜査が続く。 刑法犯少年の検挙は近年、増加傾向にある。特に、匿流の犯行とみられる強盗事件では、昨年の検挙者の約4割を20歳未満が占めた。 犯行に応募する入り口として、交流サイト(SNS)での闇バイト募集への監視が強化される中、同級生や知人の紹介での犯罪加担が増えていることにも目を向ける必要がある。 社会経験が乏しく、判断能力の未熟な若者を誘い込み、手を汚す実行役として使い捨てにするのが匿流である。 安易に誘いに乗った結果、抜け出せなくなって人生を棒に振る恐ろしさを、徹底して教えるとともに、ブレーキとなる周囲や大人の支えを強めたい。

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