社説:成年後見の改革 意思決定支える環境、不可欠

知的障害がある人や認知症の人を支える権利擁護の仕組みを、前進させる契機としたい。 事実上終身制で財産管理などを担う「後見人」を廃止し、「補助人」制度に統一する改正民法が国会で成立した。 2028年度までの運用開始に向け、地域社会で支える環境を整え、どんな障害や不自由があっても、意思決定を支援する改革につなげるべきだ。 従来の成年後見制度は家裁が選んだ弁護士や社会福祉士などを原則解任できず、生涯にわたって報酬の支払いが続く。 「最善の利益」を代行決定するとして、手術同意や施設からの外出にまで、後見人の判断が本人の意向より優先されることなどに、当事者から批判もあった。 改正により、こうした包括的な代行は一部の例外を除き廃止される。補助人制度は、家裁が期間を区切って個別の契約行為に限定するスポット利用が基本となる。期限を迎えたり、預貯金の管理などを他の支援で代替できたりすれば終了し、地域団体などの意思決定支援を受け、暮らすことが想定されている。 これまで成年後見を付けることで、「支援の区切り」や「解決」としがちだった現場の慣行を見直す必要があろう。 成年後見の利用者約26万人は新制度の対象外だが、移行はできる。後見人は改正法の理念に沿って、契約ごとに本人意向を丁寧に聞き取ってほしい。 法改正を受け、障害当事者らでつくるDPI日本会議全国集会では、制度を使わずとも安心できる自立支援事業などの拡充を求める声が上がった。 意思決定の代行を「終わらせることができる」制度に変わる日までに、障害者や要介護高齢者らの受け皿として、本人の意思を尊重して自立的に暮らせる地域の環境整備が急務だ。 実態は、医療や福祉の利用をする際に身元保証人のサインを求められることが多い。法的には、保証人を条件としてサービス提供を拒むことは許されない。身寄りのない人や高齢者らには大きな壁である。 高齢者らを対象に「終身サポート」をうたう民間事業者が参入し、金銭トラブルも相次ぐ。こうした事業者には、届け出義務も監督官庁もない。昨年には、認知症支援法人理事の京都府警OBらが、利用者の通帳や現金をだまし取ったなどとして逮捕されている。 終わりがある補助人への制度変更と両輪をなすよう、国会では社会福祉法も改正された。まちの福祉団体を中核に、日常生活や入院手続きなどを支援する内容だが、人員も財源も具体像が見えない。 地域の暮らしの中で、当人の自己決定を周囲や専門家ら複数が寄り添い、継続して支えるネットワーク作りが鍵を握る。国や自治体の対応が問われる。

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